自社の顧問税理士に依頼すると税理士報酬が発生する

(自身が従業員として)自社の顧問税理士に何かしらの業務を依頼したくなることもあります。依頼自体は可能ですが、報酬が発生します。

サラリーマンは確定申告のハードルが高い

サラリーマンの税金に関する諸手続きは年末調整で事足りることが多い(その他は役所などから納付書が送られてくるだけ)ですから、確定申告すること自体がハードルがあるのでしょう。
ただ、自宅の住宅ローン控除(一年目)や自宅や実家売却の譲渡所得などはサラリーマンでも相談の多い事例です。
税務署に聞きに行くのも忙しいし、自分でe-taxするのも以前に比べ格段にハードルが低くなったとはいえ、煩雑さや不安などはつきまといます。

自社の顧問税理士に依頼できる?

上記のような場合に、自社の顧問税理士に、従業員が自身の確定申告を依頼したいということもあります。
結論から言えば、依頼は可能ですが、報酬が発生します。
顧問税理士の業務範囲(契約で決まっています)は、その会社の税務申告関係が主ですから、従業員の個人的な税務については契約範囲ではありません。
ですので、必然的に報酬は発生します。

税理士報酬のハードル

報酬は税理士よって幅はありますが、住宅ローン控除だと20,000〜50,000円くらいが相場(内容によって金額は変動)、譲渡所得は売却額によって大きく変動するため個別見積もりが多いです。

税理士から見て、法人の経営者の方は税理士報酬を必須のものと考えておられる方が多く、それなりの金額がするということをご存知で、ある程度は仕方ないと割り切っている方が多いです。

一方、税理士との接点がないサラリーマンの方だと報酬を払うことに馴染みがなく、相場並みの金額でも(場合によっては)高いと感じられる傾向があります。
そういった意味で、税理士報酬のハードルがあります。

単発業務は値引き不可

住宅ローン控除などに限らず、個人(法人ではないという意味で個人)の方から税務申告についての依頼に絡んで、報酬についての相談を受けることも稀にあります。

ただ、値引きは難しいと思った方が良いでしょう。

税理士報酬は、申告手続きのための手間と、そこに至る(リスクなどの)判断などを総合した対価ですから、どのような業務であっても一定額以上の報酬を頂戴しないと成り立たないわけです。

他のクライアントは正規の報酬をお支払いいただいているわけですから、値引きをするのは経営的にも道理的にも難しいわけです。

法人さんだと長いお付き合いを見越して将来的な報酬増額を約して、初期に値引きをすることはありますが、個人の単発業務となるとそういったことは難しいですので。

例外として法人役員

例外として、法人の経営者の方の確定申告はサービスでやっている税理士はそれなりにいます。
というのは、法人の経営者の役員報酬は法人の経営とワンパッケージで考えるべきものであることとが大きな理由です。
会社の税務申告を検討すると、必然的に経営者(社長)の個人の税金も連動して考えざるを得ず、ご提案なども必要になってくるからです。
ただ、法人に連動している前提ですので、経営者(社長)が法人とは別に不動産貸付をしているとかだと、報酬は発生するでしょうけれど。

結局自分でやることに

結局のところ、住宅ローン控除などば従業員自身がされることが多いです。
報酬を高く感じるのが最大の理由です。
私自身も、そのようにお勧めしています。
たしかに、税理士としての儲けを考えれば税理士がやるというのもアリなのですが、極端なはなし、10万円を得するのに税理士に2万円払いたくないと考えるのは自然なことでしょう。
法人に比して、自分で申告をしても致命的に大きなリスクはありませんし。

他方、譲渡所得だとか相続税などは報酬も高額になりがちだし、リスクもそれに伴って大きいですから、顧問税理士のようにある程度気心の知れた人に依頼することはあります。