税理士に提案を求めるなら…それなりの義務も生じる

税理士を変更しようとするときに、理由として積極的な「節税などの提案」を求めるから、というのを聞きますが、求めるならばそれなりの義務も生じます。

提案には前提となる資料が必要

税理士がクライアントに資金繰りや節税、資産形成などでアドバイスをすることはあります。
もちろん、契約形態にもよりますので、契約にそのようなものが含まれていないと解される場合は、さにあらずです。

さて、税理士が提案などをするには、さまざまな「前提」が必要になります。最もわかりやすいのは会社の「数字」です。
決算書や試算表、それらを組み立てる資料がなければ提案も何もできません。
必要な数字、その根拠となる資料をキチンと期日までに引き渡さているのか?
そういったものの引き渡しが遅れれば、当然のことながら、提案を煮詰める時間が無くなりますから、提案など出来ようはずもありません。

正直に全部話している

また、必要な情報を共有していることも提案などを上手く活かせる条件の一つですが、クライアントが正直に全部話しているかどうかにかかってきます。

融資が上手くいかず、なぜなのか…とわからないでいると、「実は…信用情報にキズがあって」と後から打ち明けられるなど。

本人からすれば言い出しにくいことなのでしょうが、時として致命的になります。
正直に話していたら、また別の方法を模索できたのに…ということになりかねません。
自分に都合の悪いことを隠し立てて、都合の良い提案を受けるのは虫が良すぎますし、金融機関や税務署もそんなに甘くはありません。

断片的な情報は確認を

「断片的な情報」で判断すると誤るという話ですが、例えば融資。

銀行の担当者などは「良かれと思って」、さまざまな情報を囁きますが、その大半はアピールのようなもので、ほんのひと握りが使える情報と心得ておくべきでしょう。
というのも、融資であれば「さまざまな条件」を満たさないと実行されないものもありますが、それを知らない。
そういった条件を無視して、過度にメリットを強調するような「断片的な情報」は、迂闊に乗ると痛い目に遭いますから、必ず税理士に確認するようにしましょう。(それを逆手に取る、行儀の悪い専門家もいるのは残念なことですが…)

結局のところコミュニケーション

提案というものは、その会社の状況などを「正確に」把握していることが大前提ですから、キチンとコミュニケーションが取れていなければなりません。提案する側と、提案される側が思い描いている画(え)が同じなら問題ないわけですから。

自分の思い通りに「ああしろこうしろ」という一方通行では、有益な提案はなかなか出てこないでしょう。意外と「一方通行のやりとり」をしている人はいるものです。他山の石としておきましょう。