よくない決算書〜「分類」がおかしい

勘定科目には「分類」があって、その分類どおりに分けなければならないのですが、そうなっていない決算書もチラホラ見ます。そのような決算書は、良くない決算書といえます。

決算書は正しく分類

決算書の中心書類は貸借対照表と損益計算書ですが、それぞれには正しい「分類」(区分)があります。

決算書は「誰が見ても」ある程度判るように共通ルールがあり、そのルールにしたがって分類(区分)して表示されます。

なぜルールが必要かといえば、決算書は外部公表のための書類だからで、社内の人間だけでなく、社外の人間も見るのだから、誰が見てもある程度はわかるようにしなければいけないのです。

会計ルールに精通していない

ダメな決算書はその分類がおかしいのです。

会計を一通り学べば、貸借対照表や損益計算書がどのように分類されているのか知っているはずなのにです。

個人的な意見として、作成者が会計に精通していないという可能性はあります。

税理士試験には財務諸表論という科目があり、端的にいえば決算書をどう作るのかを学ぶ学問です。

これが非常に難しいのですが、難しさと合格率は別で、難しくても一定数は合格しますから、不得手なポイントが残ったままの人もいるのでしょう。

また、税理士は税法の勉強には熱心ですが、会計はおざなりという人が結構多いので、会計に精通していない人が作ると、そういったことになりがちなのかと。

ソフト頼み

税理士事務所では、専用のソフトを使って決算書や税務申告書を作成しています。
キチンとした税理士ならば、専用ソフト以上の知見があるので、ソフトのおかしなところを見抜いて、正しい書類を作れるのですが、

能力の足りない税理士や事務所職員だと、ソフト頼みだという人がいます。
ソフトは優れてはいるのですが、ソフトに入れるデータがそもそも間違えていれば、正しい答えにはなりません。

また、ソフト頼みの人はソフトの使い方に精通していないこともよくあります。
ソフトは入れたデータを一定の処理をするのは秀でているのですが、イレギュラーに対する対応に不向きです。

だから、人間がイレギュラーについてしっかり考えて、ソフトの処理のしやすいようにデータやその前提を整えたやったり、ソフトの設定などを修正してあげたりする必要があります。
ところが、ソフト頼みの人はソフトを使いこなすのでなく、ソフトに使われてるだけですから、そんなことはできません。

結果、変な決算書を作るのです。

変な決算書でも問題ない?

分類が多少おかしくても、「税額」に影響がないということは多いです。

また、決算書を作るルールは一定の「幅」を許容しますから、理屈が通っていれば、多少の違和感があっても、許容する人はいます。

また、税理士が関与するクライアントは中小企業ですから、上場企業とは違い外部関係者がほとんどいません。

ですから、そこまでめくじらを立てることでもないという考え方もあるでしょう。
ただ、良いか悪いかで言えば、決して良いとは言えないですし、個人的には分からない変わらないところでも、しっかり作り込むのが税理士の責務だと思います。