「価格」は改定されるもの

価格というものは、受給関係だけでなく物価やコストなどから勘案して決められるものですから、常に変動するものです。
しかし、価格改定していないと思われるケースはさまざまな場面で散見されます。
特に業歴の長いケースになると、古い価格のまま改定されず、価格がおかしなことになっていることも。

価格がおかしい

業歴の長い会社にありがちですが、過去に決めた取引価格が改定されずそのまま、何十年も同じというケースがあります。
10年、20年、30年も経ちますとその当時と現在では会社を取り巻く状況は大きく異なっているはずですから、過去に決めた価格がそのままというのはコストなどから合わないはずなのですが、そのままになっていることがあります。
担当者も変わっていって、なぜこの価格だったのかが分かっていないとか、
下手に価格を変えると責任問題になるから放置しているとか、
理由はいくつか考えられますが、価格改定されていないというケースは存在します。

価格は改定されるもの

そもそも物価であれ、原価であれ、そういったものは変動していくのが前提ですから、価格が変わるのは当然のことです。
取引価格などはあまりに頻繁に変更されると、コスト管理ができませんから、頻繁には行えないにしろ、限度を超えれば変えないと利益が出ません。

ところが、人は一旦決まった価格はそのままだと思いがちです。最初に見た価格に「刷り込み」を受けるわけです。

そんな価格では誰もやりません

私は税理士業ですから、税理士を探して依頼する人のマーケティングなども行っていますが、面白い事例を何度か見かけた(耳にした)ことがあります。
業歴の長い会社さんに多いのですが、現在契約している税理士のサービスが満足いかないので変更したい、とのこと。
現在契約されている税理士さんの報酬を聞いてみると、具体的な金額は申しませんが、めちゃくちゃ安い。
おそらく、うんと昔に契約した金額がそのまま、引き継がれているのでしょう。
金額とサービスは釣り合うものですから、税理士のサービスが悪いのではなく、値段相当と考えるのが自然なのですが、当人はそう思わないから、変更を検討するのでしょう。
ただ、変更を検討したとて同じ価格でやる人はいないでしょうし、いたとしてもサービスが良くなることは限りなく可能性は低いです。
30年も前の(正確には何年前かわかりませんが)価格で、今の税理士が契約するかといえばノーでしょう。

価格改定しない方も悪い

この事例では、数十年前の価格のまま放置して、浦島太郎になっている会社も悪いですが、価格改定しなかった税理士も悪いです。
無理なら無理と言ってあげないと、その会社もそんなものだと勘違いするし、市場の価格からかけ離れていると、その勘違いは致命傷になりかねません。
勘違いしたままだと、新しい税理士も見つからないでしょうし、見つかったとて前の価格に刷り込みが起きていれば(アンカリングされていれば)、サービスとの釣り合いが分からず揉める可能性が高まります。
結果、誰も得しません。皆が不幸です。

価格は変わるもの

商売をしていると、さまざまなモノの価格を目にします。そして、商売をしているのだから、それらの価格のいくつかは自分で決めるものもあります。
あまりに長い間、放置したままの価格があるのであれば、採算があっているのか、他者(他社)とあるいは相場と比較して著しくかけ離れていないか、は常に検討し、そうであるならば改定しなければなりません。
自社だけでなく、取引相手、そして同業他社にも迷惑(そして大抵は取り返しのつかない)をかけてしまいますので。