テキトーに決めて失敗・役員報酬の決め方

役員報酬は、原則的に年に一度だけしか変更ができませんから、その金額の決め方には注意を要します。

年に一度だけ変更できる

役員報酬は、決算後の所定の時期までに一度だけ変更することができます。逆にいえば、基本的には変更できないということです。
会社の業績が予想よりも好調だった場合、会社としては嬉しいことですが、反面、税金が問題になります。
業績が良ければ、利益が増えるため、利益にかかる税金が増えてしまいます。
もし、役員報酬をいつでも変更できるとしたら、「利益が増えそうだ」と(決算間際になって)予想されるときに、役員報酬を増やして、利益を減らすことが可能になります。
ですから、利益操作につながる役員報酬の変更は認められないというわけです。

先を予想して決める

役員報酬は、決算後の所定の時期にだけ変更できます。簡単にいえば、これからさき一年分の役員報酬を前もって決めてしまうわけです。
前もって決めるわけですから、先のような利益操作が封じられるのですが、会社からすると、このさき一年間の利益を予想しなければなりません。
単純に考えて、前年よりも利益が大きいと予想されれば役員報酬は上がるでしょうし、利益が少ないと予想されれば役員報酬は下がるでしょう。

予想は難しい

この先1年間の利益を予想して、役員報酬を決めるわけですが、何でもそうですが「予想」は難しいです。
しかし、予想にある程度の精度と根拠をもたさないと何も決められません。
ですから、どのくらいの売上があって、経費はどのくらいで、と予算を考えなければならないのです。

役員報酬以外にも、役員に支払うことができるものとして、事前確定届出給与も知られています。(簡単にいえば、「事前に所定の時期に所定の金額を支払う」ことを決めて届けておけば、役員に賞与的に支払えるというものです)
ただし、売上の見通とか、業況とかが見えていない、つまり見通しが立てられないのであれば、そういったことはリスクばかりが大きいのですべきではないでしょう。

その他の要素

会社によって何を重視するのか、何が精度が高いのかが異なるため、ケースバイケースですが、予想どおりにはいかないのが世の常ですから、それ以外の要素も考慮して役員報酬は決定されます。
会社の業績予想以外に、役員報酬に対する所得税や住民税、社会保険料(役員が負担する金額を考慮します)
また、会社が支払う税金(法人税等)と役員個人が支払う税金の比較。
会社のキャッシュフロー。(社長はいざというときに会社に私財を貸し付けなければなりませんから、そのために役員報酬を分厚くする必要があります)
社長の個人の生活費。

こういったものを勘案して、役員報酬を決めることになります。

社長の仕事は決めることだから

ところで、社長の大きな仕事は会社の仕組みを作り、それを運営していくことです。その中でさまざまな決定をしなければなりません。
役員報酬は、その第一歩であると同時に、要でもあります。
役員報酬が、決められない。というのであれば、経営が杜撰である証左ですから、きちんと経理周りから見直さなければならないでしょう。