仮払金が残ると信用低下?決算書のリスクと対処法を解説

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決算書に「仮払金」が何年も残っている――
それは、会計処理の甘さだけでなく、会社の信頼性そのものを損なうリスクがあります。
仮払金はあくまで一時的な処理であるべきで、残り続けること自体が「社内統制の欠如」と見なされかねません。
なぜ仮払金が消えないのか? 何が問題なのか? 放置による具体的なリスクと、今日からできる実務的対処法を解説します。

仮払金とは

仮払金とは、「金額や支出内容が不明なため暫定的に」処理をしておく科目です。

例えば、預金通帳に何かよくわからない出金があったとして、出金について処理しないと通帳の残高が合いませんから、仮払金と暫定的に処理します。

暫定的に処理するための勘定科目ですから、本来なら仮払金は、のちにキチンと調べて、正しい勘定科目に修正しなければなりません。

よくある例
・出張旅費の概算
・立替払いなど

仮払金が残っていることの何が問題?

決算書の信頼性が下がる

仮払金は、正しい処理(取引内容)がわかるまでの暫定的な勘定科目ですから、決算書に残るのはあまり好ましくはありません。

決算書は、その期間の取引内容を全て調べたうえで、正しい勘定科目に集計するものだからです。

仮払金が決算書にあるということは、「支出内容が不明な取引が残っている」ということなので、厳しく見れば、決算の不完全性の証明ともいえます。(中小企業では、仮払金の本来の意味を取り違えて使っていたり、そのまま残っていたりするところがありますが、好ましくないのは明白です)

銀行・税務署からの印象が悪くなる

融資の審査の場合、「仮払金」があれば、「何に使ったかわからないお金があります」といっているようなものですから、印象が悪くなります。

税務調査に際しても、仮払金があるから即座には追徴※とはなりませんが、決算書作業が「甘い」から「詳しく調べれば間違えている処理がある」とは思うでしょう。

※役員賞与となるケースも想定されます。役員賞与はペナルティが大きいですから、放置厳禁です。

仮払金をなくすためにやるべき対策

決算書に仮払金は無い方が良いのですが、仮払金が計上されることもあります。

例えば、出張旅費などを概算先渡して、まだ未清算の場合などです。これは、やむを得ない面もあるため、残っていても問題にならないでしょう。(正しく精算されるのが前提ですが)

こういったやむを得ない場合もあれば、単に慣習的に仮払金を使っている場合もあります。
得意先・従業員にお金を貸した場合など。

精算書・証憑の提出を義務づけ、不明な支出を放置しない
(精算の期限とルールを明文化する)

一定期間未精算の場合は、貸付金などの科目に振り替える
(貸付金も決算書上好ましくないですので、従業員などに貸すということをやめましょう)

仮払金は「仮」のもの、放置はリスク

やむを得ず、あるいは慣習的に仮払金を使っていたとしても、すぐに消えてしまうのであれば大きな問題にはなりません。

いつまでも消えないで残っている仮払金は問題ありです。
そもそも、いつまでも残っているということは「仮」では無い。
暫定的というのは、一時的とも言い換えられますが、いつまでも残っているものは一時的では無い、ということ。

残っているならば、原因を調べて然るべき処理をすべきでしょう。
ずっと同じ仮払金が残っていれば、ずっと「仮」のまま放置する会社だと白状しているようなものです。