日本の相続税が難しい理由

相続の自称専門家は多いですが、信頼できる専門家は少ないのが実態です。その前提として、相続税が複雑だという問題もあります。

さまざまな分野の知識が必要

人が死ぬと、その死んだ人が持っていた財産は一定の血の繋がりのある人たちへ引き継がれます。これを相続といいますが、相続に関わる法律は相続税法だけではありません。

相続によって財産を受け継ぐ、つまり財産の引継には民法が関与しますし、それらを登記するとなると登記関係の法律も関与します。
法律だけではありません。

相続税は財産にかかりますから、財産についての知識…例えば金融資産や不動産などについてもある程度は知っておく必要があります。

中心となるのは、相続税法であることは間違いないのですが、いくつかの法律が絡み合っているので、相続税法だけを勉強すれば良いというものではなく、それぞれの守備範囲を把握することが必要ことが難しく感じさせるのでしょう。

民法のうえに成り立っている

相続税は、民法を前提として成り立っています。
人が死んで「一定の血の繋がりのある人」に財産を引き継いで、その結果に基づいて相続税を計算します。

このときに、「一定の血の繋がりのある人」が誰で、どれだけの財産を受け取ることができるのか、という財産の行き先は民法が関与してきます。相続税法は、その結果に基づいて税金を計算します。
他の税法と違い「民法があること」を前提としていますから、民法と相続税法の守備範囲の受渡がどうなっているのかを考える必要があるため、難しく感じるのでしょう。

相続税法独特の考え方がある

「人が死んだ時点で持っていた財産」に対して課税されるのが「相続税」ではあるのですが、それだけで済まないのが相続税の複雑なところです。

「死んだ時点で持っていた財産」以外にも、その死んだ人から「生前に譲り受けた財産」で一定のものも、相続税の対象となります。

財産も、一般的な意味での「財産」とは少々イメージが遠いもの(死亡退職金など)も財産に含まれます。
独特の考え方で成り立っているので、その考え方に慣れないと難しく感じるでしょう。

計算体系が独特

日本の相続税は計算体系が複雑です。
財産を取得したそれぞそれの人に対して税金を計算させるのではなく、死んだ人の遺産全体に対応する税金を求めて、これを財産を取得したそれぞれの人に割り振るという、パッと聞いただけでは、よくわからない計算方式をとっています。

いくつかの理由があるのですが…
同じような家族構成で同じくらいの財産を持っていたら、同じくらいの税金にならないと公平ではありません。
そのため、死んだ人の遺産全体にかかる税金をまず求めて、これをそれぞれの財産を取得した人に割り振るのです。