続税を大きく減らすことができる特例として「小規模宅地の特例」は有名ですが、土地を申告期限までに売却してしまうと、この特例を受けられなくなることがあるので注意を要します。
小規模宅地の特例は、土地の減額規定です。
相続財産のうち金額的に多くを占めるのが土地のなのですが、相続税が課税されたことによって土地を手放さざるを得なくなると、残された家族などは困ってしまいます。そこで、一定の要件を満たす土地については土地の評価額を減額することによって税金を軽くし、土地を手放さなくても良いようにしようという規定です。
減額されるのは土地の評価額の5割から8割ですから、1億円の土地であれば最大で2千万円まで評価が下がります。税金に与えるインパクトは相当ですね。
さて、この「小規模宅地の特例」ですが、幾つかの要件を満たしていないと受けることが出来ません。多くの場合、その土地等を「申告期限まで所有していること」、その土地の上で「申告期限まで事業を続けている・住み続けていること」といった「縛り」があります。
申告期限とは相続税の申告書を提出するタイミングのことで、通常は相続開始(死亡の日)から10ヶ月後になります。その間、土地を所有し続け、事業あるいは居住を続ければ80%減額できたのに、売却してしまうと先ほどの「要件」を満たさなくなるため減額できなくなってしまいます。
相続の場合には、早急に土地などを売却して換金してしまいたいという場合もあるでしょうが、まずは小規模宅地の特例を受けない土地を売却することを考え、小規模宅地の特例を受ける土地を売却するのであれば、申告が終わってからにしたほうが良いでしょう。
また、「事業を続ける」などの要件は事業の形態が変わる(転業する等)と認められないこともありますので、基本的には「申告が済むまでは現状を維持するのが良い」という方針で考えるべきですね。