これだけは知っておきたい税金の基礎、相続税法です。相続税の対象になる人は死んだ人のうち20人に1人と言われています。転ばぬ先の杖、簡単な仕組みだけでも理解しておきましょう。
相続税は所得税を補完している
相続税は、人が死んだときに、死んだ人から財産を貰う人に対してかかる税金です。人が生きている間にかかる税金としては、最も大きなものとして所得税があります。
所得税は、生きている間を1年ずつに区切って、収益から経費を引いて所得(利益)を計算して、その利益に税率をかけて税金を計算しています。(この税率として有名なのが超過累進税率と呼ばれるものです。)
利益に税率をかけて税金を計算する。実際のところは、利益から、所得控除と呼ばれるものを差し引いています。馴染みのあるところでは、医療費控除や保険料控除などはほとんどの方が受けているのではないでしょうか。利益から生活をしていくのに最低限必要な金額はまけてあげましょうという趣旨の制度です。
所得控除の部分は、税金がかかっていませんから、人が死んだ後に清算をする意味で、死んだ時点で持っている財産に応じて相続税を課税します。そうすることによって、生前に所得控除により所得税が課税されていなかった部分に税金がかけられます。つまり、相続税は所得税を補完していることになるのです。
贈与税は相続税を補完している
相続税は人が死んだ段階で持っていた財産についてが税されます。すると、賢い人は、生きているうちに財産を他の人に譲ろうと考えます。死んだ段階で持っている財産に相続税がかかるのだから、生きているうちに譲れば相続税はかからないだろうという考え方ですね。
そうなると、相続税の制度が崩壊してしまいますので、国は、生きているうちに譲られた(贈与された)財産については、贈与税を課税するとことしています。しかも、相続税に比べて遥かに税率が高いです。
したがって、生きているうちであれ、死んだ後であれ、ただで財産を貰うと贈与税あるいは相続税がかかることになります。こういった面から、相続税は贈与税によって補完されているといえます。
相続税は財産課税
相続税の特徴として、財産課税が挙げられます。所得税や法人税は儲けに対してかかる税金ですが、相続税(贈与税も)は、死んだ段階で持っていた財産に対してかかる税金です。
死んだ段階で持っていた財産に対して税金がかかりますから、相続税の計算においては、どのような財産をいくら持っていたかという金額を決めることが重要となります。この財産の金額を決めることを財産評価と言います。
財産の無償移転が課税原因
相続税を課税する根拠は、無償移転です。平たくいえば、死んだ人(被相続人)から財産を貰った人(相続人)は、相続を原因として、ただで財産を貰っています。ただで財産を貰っているのだから、税金を払う余裕があるだろう。だから、相続税を課税しますよという理屈です。
財産を貰った人が税金を納める
相続税は、相続などにより財産を貰った人が税金を納めなければなりません。贈与税も同じです。財産を取得した人が税金を納める義務を負います。
相続税は原則お金で納める
相続税がかかる人は、死んだ人のうち20人に1人といわれています。ですので、多くの人は相続税とは関係なく死んでいきます。しかし、相続税がかかることとなった場合は、どうやって税金を納めるかを考えなければなりません。
多額の財産をお持ちの方は、どのくらいの税金がかかりそうか、事前に税理士に相談してみてください。事前にどのくらいの税金がかかるか分かれば、納税資金の準備も前もって行うことができますから。
日本の相続税のかかる人の特徴として、土地持ちの方が多いです。土地は相続があった場合に、すぐに売れるとは限りませんから納税資金の問題がついて回ります。多くの方は、物納すればいいのではと考えられますが、物納の要件は非常に厳しいです。原則は、お金で納付しなければなりません。
相続税がかかりそうな方は、事前に税理士に相談して税金がどのくらいかかるのか、その資金はどこから工面するのかを検討されることをオススメします。