経営者のなかには、「儲かってる」という実感を得にくい人が一定数います。
昔のように札束をやりとりしてという世の中ではなくなり、通帳を介した数字のやりとりに変わったという面はあるにせよ、キチンと儲かってることをわかっておかないといけません。
札束が積まれないので
昔のように現金や札束をやりとりして…という商習慣ではなくなり、通帳を介したお金のやり取りは、単なる数字のやりとりだけに見えてしまいがちです。
経理を配偶者や社員などに任して、その通帳すらあまり見ないという経営者であれば、「儲かってるのか?」が分からなくなるのも自明でしょう。
分からないなりに、把握する努力をしなければなりませんが、方法が分からないのが困ったところ。
そういった場合には、まず通帳を一定のタイミングごとに(例えば、月々の支払いが終わったごとに)毎月確認をする。
通帳残高の動きで、業績の好不調が見えてくるはずです。
この場合の通帳ですが、会社の通帳だけでなく、個人の通帳も見るようにすれば、儲かってる実感が得やすいでしょう。(中小企業はほぼ全てがオーナー企業ですから、オーナーである社長個人の資金と合わせて考えないといけません)
支払いが出来てれば及第点
会社が支払うべきものを、しっかりと支払えているというのは、それだけで価値のあることです。
業績が悪化し、資金繰りに窮すると、支払いが苦しくなって、ダメな会社は支払い期日が遅れたり、飛ばしたり。そうなると、信用を失って、事業が立ち行かなくなるという負のスパイラルに突入し、なかなか抜け出せません。
ですから、必要な支払いをキチンと出来ているということは、儲かってることと同義で価値のあることです。支払いができているということを、過小評価してはいけません。
また、必要な支払いをきっちりと済ませたうえで、お金が余って余って仕方がないというようなことは通常あり得ません。(支払の中には税金も含まれます)
そんな漠然とした、おかしな尺度でしか「儲かっている」という実感を感じられないとしたら、まずは会計の基礎をきちんと学ぶところから始めないと、経理担当者はやめていくでしょう。
会社が続いてることこそ
儲かってる実感がなくても、会社が続いていることこそが、一つの答えでもあります。
会社を作ることは誰でもできますが、潰さないことは難しい。
「儲かった」「損した」は所詮、特定の期間のことで、企業の最終目的は存続することです。
会社を潰さず、「今期も無事に営業を継続できた」ということは、トータルで見れば儲かってる以上の価値があるわけです。
健康と同じで無くしてわかる
「儲かってる実感がない」というのは、健康と同じで、無くして初めて、その価値に気づきます。
健康な時は、健康のありがたみを鑑みることがないように、経営者も儲かってるときは、あまり気づきません。
ひとたび、不況になったり、業績にアクシデントが生じたりで、会社の健康が損なわれたときに、あのときはよかったなぁと思うわけです。
ただ、もっと賢明なのはなくす前からその価値に気付ける人で、そういった意味では、
「通帳残高が増えている」「(税金も含めて)支払いがキチンと出来ている」「会社を今期も無事に存続できた」ということであれば、「ああ、これはありがたいことだ」と。
青い鳥と一緒で、すぐ近くにあるのに気付かないというのは、勿体ないことです。まあ、なくして気づいたときには遅いということでもありますが。