出店費用を満額借り入れするのは無謀

出店する際の費用の全額を借入で賄うのは危険です。

初期コストをどうするか?

お店を出す必要がある業態の場合、初期コスト(イニシャルコスト)が大きくかかります。

不動産を借りるには、前家賃・敷金・礼金・仲介料などがかかりますし、その不動産を改装するための工事費用も必要です。人材を集めるための募集費用や、スタート時点での商品や材料などを仕入れるお金。更に、細々とした備品や消耗品を揃えなければなりません。

これらの初期コストに見合ったお金を自己資金で持っているならば、なんの問題もありませんが、大抵は持っていないので、お金をどのように工面するのかが問題となります。

借りるしか無いが

お金がないけれど商売をする場合には、お金を借りるしかありません。

銀行などのいわゆる金融機関から借りるわけですが、商売を始めて日が浅い、あるいはこれから始めるという場合には、都市銀行や地銀はなかなか相手にしてくれませんから、政府系の金融機関となります。

具体的には、日本政策金融公庫(いわゆる公庫)です。
公庫は、そういった中小事業者のための金融機関ですから、比較的お金を借りやすいわけです。

返せる金額を借りるべきだが

本来お金を借りる際には、返せる金額と必要な金額を、しっかりと見積ったうえで申し込むべきです。

出店するとなったときに、お金が必要なわけですが、お金がないから借りる。
けれど、お店自体はまだないからどのくらいの利益を生み出すのかが不透明で、果たしてどのくらい返せるのか、誰もわかりません。

現在ある店を改装して売上を伸ばすとかだと、わかりやすいですが、店自体が無いというのは売上や利益を読みづらい、つまりどのくらい返せるかは分からない。

本当に初めての場合は、計画をきちんと立てるしかないですが、すでに他の店舗がある場合には、ほかのお店を参考に計画を立てることで、完璧では無いにせよ根拠のある予想はできます。

全額借りるのはリスク大

どのくらい返せるか分からないのに、初期コストを全額借りるというのはリスクが大きいです。
貸す側からしても、そうでしょう。

であれば、満額は借りれないでしょうし、借りれたとしても、「返せるか分からないーのであれば同じことです。

返済圧力がキツくてアップアップしている会社は多いですが、これは本当にキツい。
だから、出店費用は全額を借入でするというようなことは考えるべきではないでしょう。

さまざまな考え方がありますが、公庫の創業者向けの融資でも3分の1くらいは自己資金を要求されますので、同じくらいは自分で準備したお金で賄うべきでしょう。

会社つまりは事業に必要なお金をどう工面するかを資金繰りと言いますが、資金繰りは後手を踏むとしばらくは後手を踏み続けることになります。
後手を踏むのはシンドいし、打つ「手」が無くなれば、会社もお亡くなりになります。

初期費用の全額を借りるというのは、すでに資金繰りで思いっきり後手を踏んでます。無理のない範囲で、自己資金を充てて、なるべくリスクを減らしておくべきでしょう。