都市部戸建ての資産性メリット|長く住み、子どもに引き継ぐなら有力

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住宅を買うとき、価格や広さ、通勤のしやすさで判断する人は多いと思います。
ただ、住宅は「住むための場所」であると同時に、長く住み続け、将来は子どもに引き継ぐこともあり得る資産です。

特に、資産家の家系ではなく、自分の代で財産を作っていく人にとっては、どこに住宅を持つかは資産形成にも大きく影響します。
その意味で、都市部の戸建ては、住みやすさだけでなく、売却のしやすさ、資産性、税制面でも有利に働くことがあります。

本記事では、実需として長く住み、将来の承継まで視野に入れる場合に、なぜ都市部戸建てが有力な選択肢になりやすいのかを整理します。

この記事は共働き夫婦の資産形成をテーマにしたシリーズの一部です。
全体像をおさえてから読み進めたい方はこちらの記事を先にどうぞ

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この記事の前提

この記事でいう「都市部戸建ての資産性メリット」を受けやすいのは、自分の収入で自宅を購入し、長く住む、あるいは永住し、最終的には子どもに引き継ぐようなケースです。

そのため、短期の値上がり益を狙う不動産投資や、頻繁な住み替えを前提にした住宅選びとは、考え方が異なります。

また、防犯・防災、ハザードマップ、建物の安全性などの個別論点も重要ですが、この記事ではそこには立ち入らず、資産性・税制・承継の観点に絞って整理します。

都市部戸建てが有力な選択肢になりやすい理由

住み心地や利便性、流動性の面では都市戸建てよりも優れた物件はあるでしょう。

しかし、将来の売却のしやすさ、税制メリット、次世代への引継ぎやすさを考えると都市戸建てにもアドバンテージがあります。

土地の価値が相対的に大きくなりやすいため、資産価値が残りやすく、都市部であれば比較的売却しやすい傾向があります。 実需として居住するのであれば、住宅ローン控除、固定資産税の住宅用地特例、相続税の特例など、税制面のメリットも受けやすくなります。

つまり、この記事のテーマは「高くても都市部に住むべきか」という一般論ではありません。
自分で財産を作り、長く住み、子どもへ引き継ぐことまで考えるなら、都市部戸建ては有力な選択肢になりやすいという点にあります。

以下では、この視点を前提に、都市部戸建ての資産性や税制メリットを順に整理していきます。

都市部に住むことは“戦略的な制約”

移動時間の節約

一般的に都市部の方がアクセスが良く、通勤・通園・通学・移動の時間が節約できるのは大きなメリットです。

片道30分、往復で1時間節約できれば年間で250時間程度を別の時間に充てることができます。

時給換算すれば、それなりの金額になります。

生活インフラ

保育園・病院・教育機関なども都市部に集中しています。(もちろん職場も)

「職住近接」とよく言いますが、多忙な共働き夫婦にとっては、「職住」だけでなく、その他の生活インフラも近接している方が、時間効率の面で遥かに効率的です。

生活の成立条件

多忙ゆえに生活に必要な要素を住まいの近郊に集中させることは、多忙な共働き夫婦にとっては、「理想」というよりも「生活の成立条件」となっています。

確かに、郊外の自然豊かで静かな環境にも魅力はありますが、そんなことを言っていられない、コストがかかっても都市部に住まざるを得ない、というのが実情ではないでしょうか。

【本題】都市部に住むことで得られる見落とされがちなメリット

土地やマンションの資産価値が落ちにくい

不動産の価格は、都市部に需要が集中するため、需要が安定し、価格も安定しやすい傾向にあります。

不動産の所有には、固定資産税が高いなどのデメリット(住宅は固定資産税は軽減されています)がありますが、売却や賃貸などの出口戦略を取りやすい、という大きなメリットもあります。

地方の郊外の不動産は、売るに売れない、という状況に陥りがちです。

固定資産税などの高さと、売りやすさはトレードオフといえますが、資産の流動性は住宅取得における最大の弱点なので、『売れる』というのは極めて大きなポイントです。

小規模宅地等の特例が効きやすい

出口戦略の派生として、「相続」があります。

相続における最大のネックは相続税ですが、「小規模宅地等の特例」は都市部の宅地のほうが制度上の恩恵を受けやすいのが実情です。

小規模宅地等の特例は、生活の基盤となっている宅地等(居住用の宅地など)について、一定要件を満たせば50〜80%減額できるというものです。

適用できる宅地等には、「面積の上限」がありますので、必然的に単価の高い土地のほうが有利になる、という仕組みです。

うまく活用できれば、資産を次世代に残していけますから、遠い将来の相続の話であったとしても、選択肢を残しておくことで、精神的な負担は軽減されます。

事業用不動産に比べると固定資産税負担は低い

居住用の土地には、固定資産税の住宅用地特例があります。
そのため、店舗などの事業用不動産に比べると、課税負担を抑えながら高額な資産を保有しやすいという面があります。

これは、低い保有コストで高額な資産を持ちやすいという意味で、資産形成上のメリットにもなります。

住み替え時の売却がしやすい

所有資産を売却し、売却益が発生すると所得税や住民税が課税されますが、一定の居住用不動産には売却益から3,000万円を控除するという特例があります。

売却益があるということは、基本的に買ったときより価値が高まっているということですから、資産形成がうまくいったともいえます。

さらに、売却益の課税が軽減されれば、住み替えなども、より対応がしやすくなるのも大きなメリットでしょう。

築年数による目減りより、立地の価値が残る

都市部の需要が安定している不動産、特に土地は価値の目減りがありません。

会計的には建物の価値は、物理的な損耗に伴って経過年数とともに減っていくのですが、土地はそのようなことはありませんから、価値が減りません。

都市部の不動産の方が、物件の価値が読みやすいというのはメリットです。

また、マンションであっても都市部は需要が比較的安定していますので(立地や築年数などの要素ももちろんあるものの)、価値が残りやすい。

荒っぽくいえば、ローンを返せば返すだけ、資産形成が進んでいきやすい、ともいえます。

まとめ

住宅選びにおいて、価格や広さ、通勤のしやすさなどはもちろん重要です。
ただ、長く住むこと、必要なら売却できること、将来は子どもへ引き継ぐことまで考えるなら、住宅の資産性も家計に大きな影響を与えます。

住宅購入を検討する際は、価格や月々の返済額だけでなく、次の点を確認しておきたいところです。
・長く住む前提で無理のない立地か
・将来、売却や賃貸に出しやすい場所か
・土地の価値が残りやすいか
・税制や承継の面で不利になりにくいか

都市部戸建ての価値は、買った瞬間の満足感ではなく、長く住み、持ち続け、引き継ぐ中で差が出やすいものです。

共働き世帯の資産形成を整理したい方へ

資産形成は、投資商品を選ぶだけでは決まりません。
住宅取得、教育費、老後資金、保険、税金、相続まで含めて、家計全体で考える必要があります。

このブログでは一般的な考え方を整理していますが、実際の判断は、収入、家族構成、住宅ローン、教育方針、保有資産によって変わります。

個別の状況を前提に整理したい方は、内容に応じて単発相談をご利用ください。

この記事を書いた人
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税理士・佐野匡司
大阪の小さな事務所を運営する現役税理士。
官報合格(試験合格)+実務経験15年以上。
中小企業オーナーや資産形成を志す個人(特に共働き夫婦・パワーカップル)に向けて、
「リスクを抑えたお金の戦略」を発信中。

保険・投資・不動産などの販売とは無縁の独立系の立場から、
中立的で実務に根ざした情報をお届けします。

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