福利厚生で節税(まとめ版)

 福利厚生費をうまく使って、従業員さんは幸せになり、会社は節税を図りましょう。

要件を満たせば福利厚生費になるもの→社員旅行、スポーツクラブ等、残業夜食、健康診断費用、慶弔見舞金、プロ野球の年間シート、忘年会等、永年勤続表彰

 

福利厚生費とならない→社内ゴルフコンペ

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福利厚生費とは

 「福利」とは幸福や幸せ、「厚生」とは生活や身体を豊かにすることだそうです。会社が、従業員さんたちの生活や身体の豊かに幸せにするためにする支出が福利厚生費です。

 

 福利厚生費として処理をすれば、全額が経費となりますので、経費が増える→利益が減る→法人税等が減る=節税になる、といった効果があります。

 

 それでは、どのような場合に福利厚生費で節税がはかれるのか、今までの記事のまとめ版としてご紹介いたします。

 

社員旅行で節税

 最近は少なくなった感もありますが、福利厚生の一環として社員旅行に行くこともできます。この場合には、一定の要件を満たさなければなりません。

 (条件)

 ・旅行期間が4泊5日以内

 ・一人当たり費用が10万円未満

 ・社員の参加割合が50%以上

 

 (注意)

 ・不参加の人にお金を渡すと、給与としての取り扱いになります

 ・特別豪華なホテルへの宿泊や特別豪華なレストラン等での食事等は接待交際費になります

 ・後日の調査に備えて、旅行の企画書・日程表、集合写真等は保存しておきましょう

 

 (参考)社員旅行で節税

 

スポーツクラブに法人で加入して節税

 スポーツクラブ、会員制レジャークラブ、フィットネスジムなどに法人で加入し、従業員全員で利用できるようにすれば、従業員の福利厚生にもなり、会費は経費になるので節税が図れます。

 

 (条件)

 ・法人で加入すること

 ・従業員全員が利用できるようにすること

 

 (注意)

 ・特定の社員や役員のみが利用する場合には、給与として取り扱います

 ・利用規程や利用実績簿等を作成・整備しておきましょう

 

 (参考)スポーツクラブに法人で入って節税

 

残業夜食代は福利厚生

 会社が従業員に食事を支給すると、従業員に対する給与として取り扱いますが、一定の要件を満たせば、給与として課税しなくても構いません。

 

 (条件)

 ・役員や使用人が食事の価格の半分以上を負担している

 ・次の金額が1ヶ月当たり3,500円以下

   …(食事の価額)−(役員や使用人が負担している金額)

 

 ちなみに、残業夜食代は給与として課税しなくても構いません。給与として取り扱うと、源泉税の計算も面倒ですし、食事を支給するならば、残業夜食だけが無難です。

 

 (参考)食事代と源泉税

 

健康診断費用で福利厚生

 社員の健康を守るための健康診断も、一定の要件を満たせば福利厚生費になります。是非とも、要件を満たすようにしましょう。

 

 (条件)

 ・従業員全員を対象としている

 ・健康診断の内容が常識的な範囲で、高額でない

 ・会社が費用を直接支払う

 

 (注意点)

 ・特定の社員や役員のみを対象とすると、給与として取り扱います

 ・健康診断費用が数十万円かかるような高額な場合は不可

 ・従業員にお金を渡して…はNG(医療機関に会社が直接支払う)

 

 (参考)健康診断費用を経費にして節税

 

慶弔見舞金は規定を作成

 慶弔見舞金は、取引先等の社外の社に対して支出すると交際費です。

 

 従業員、役員に支出をした場合には一定の要件を満たせば福利厚生費となります。

 

 (条件)

 ・慶弔見舞金等が社内規定に基づいて支給された

 ・支給額が社会通念上相当な額

 ・他の従業員と比べてバランスがとれている

 

 (注意点)

 ・慶弔見舞金規定を作成して公平性や客観性を保つことが肝心です

 

 (参考)慶弔見舞金は規定を作って節税

 

プロ野球の年間シート

 プロ野球、サッカーなどの年間シートも条件を満たせば福利厚生費となります。

 

 (条件)

 ・すべての従業員が公平に利用できる

 ・社会通念上、相当な金額まで

 

 (注意点)

 ・社外の社と観戦に行くと、接待交際費となる

 ・利用実態を把握できるような仕組みづくりが必要

 

 (参考)プロ野球の年間シートで福利厚生

 

忘年会や懇親会

 忘年会や懇親会等についての支出を会社が負担した場合も要件を満たせば福利厚生費です。

 

 (条件)

 ・従業員、役員全員が参加

 ・金額が常識の範囲内

 

 (注意点)

 ・福利厚生費になるのは、1次会まで

 ・社外の者がいる場合には、一人当たり費用が5,000円以下なら会議費

  →5,000円を超えているときは接待交際費

 

 (参考)懇親会や忘年会で節税

 

永年勤続表彰

 永年勤続表彰制度も、要件を満たすと福利厚生費と出来ます。この場合、お金ではなく記念品などを贈ることになります。

 

 (条件)

 ・社会常識からして妥当な金額

 ・勤続年数が10年以上の人を対象にする

 ・同じ人を複数回表彰するときは、前の表彰から5年以上の間隔があいていること

 

 (注意点)

 ・お金を直接渡すと、給与課税

 

 (参考)永年勤続表彰で節税

 

ゴルフコンペは福利厚生費にならない

 ゴルフについては、まだまだ高級品として認識されています。(世間ではどうか分かりませんが、課税当局はそう考えています)

 

 ですから、残念ながら、ゴルフコンペを社内で開催したとしても福利厚生費とは認められません。

 

 (参考)ゴルフは高級品なので接待交際費

 

まとめ

 福利厚生費として認められるためには、

 ①全員が対象

 ②金額が妥当

 といったことが共通ルールになってきます。(それ以外の条件がつく場合もありますが)

 

 全員が利用できる仕組みづくりをしっかり行い、利用実態を把握できるようにしておきましょう。(主に税務調査対策的な意味で)