「収入」と「所得」は意味が違うのですが、日常生活でつかう言葉でないので、カンタンに解説します。
収入=全体、所得=残り
収入と所得の違いですが、上記の図のような関係になっています。
収入とは、稼いだり売上げた金額の「全体」をさしています。
一方、所得とは収入からそれを得るために犠牲となった「経費」を差引いて計算されます。つまり、「収入−経費=所得」ですね。
ということは、必ず「収入>所得」となります。
よりカンタンに言えば、収入=全体、所得=残り(横文字のほうが分かりやすければ…収入がグロス、所得がネットともいえるでしょう)
自営業(フリーランス)の場合
自営業の場合は、わかりやすく売上などが収入。
これを得るために支出したものが、経費。
個人でライターなどをしていれば、クライアントから貰う原稿料などが収入。
その収入を得るための取材にかかった交通費とか、調査のための書籍代などが経費。
収入から経費を差し引いたものが「所得」となります。(とくに個人で商売をして得た所得を「事業所得」といいます)
サラリーマンの場合
サラリーマンのように給料をもらっている人の場合も、同じ考え方なのですが、経費の考え方が特殊です。
というのは、サラリーマンも給料をもらうために勉強をしたり身だしなみを整えたり…といろいろとあるのですが、給料を得るためということとの因果関係が必ずしも明確ではありません。
本来、経費というものは収入との因果関係がはっきりしているものでないと認められませんから、サラリーマンは経費がほとんどありません。
そうすると、事業所得等とのバランスが取れなくなってしまうので、給料には「概算経費」を認めています。
概算経費というと言葉が難しいですが、要は…「このくらいの金額の収入があるのだったら、うち〇〇%は経費だろう」とおおよその金額を経費とするという考え方です。
おおよその金額で経費を考えるので、「概算経費」。(とくに給料の場合は「給与所得控除額」とよばれています)
収入=額面、所得≒手取り
年末調整などの書類に記載するとき
年末調整もそうですし、住宅などのローンを組んだり、カードを作ったり、保険の書類を書いたりするときにも「収入」を聞いてきたり「所得」を聞いてきたりされます。
「収入」と「所得」の違いがわかっていれば、そこまで悩まず記載できるのではないでしょうか。
給料の場合、年収がわかれば自動的に給与所得控除額もわかるため、所得もわかります。
なので、最近は年収だけを聞いてくるようなものも増えてきています。
どちらが有利か?
自営業やフリーランスは経費が認められ、サラリーマンは(原則として)経費が認められない代わりに概算経費が認められる。
一般的には、経費に「ある程度の」裁量がある自営業やフリーランスのほうが税金面で有利と思われています。
ただ、収入を得るためのリスクが自営業やフリーランスは大きいのに対し、サラリーマンは少ないです(判例でもそのような考え方をしめしています)。
いずれも一長一短があるので、自分にあった働き方をしたほうが良いということだと理解しています。