償却資産税という税目は「ない」という考え方もありますが、「ある」といえば「ある」し、「ない」といえば「ない」、どっちでも良いのです(笑)
償却資産税とは
償却資産税というのは、そのまま償却資産と呼ばるものに対してかかる税金のことです。
ただ、厳密には償却資産税とは固定資産税の一種です。
固定資産税は、土地・家屋(いわゆる建物)そして償却資産に対して主に市町村が課税をする税金です。このうち、償却資産は土地・家屋と扱いが大きく異なるため、別に償却資産税などと呼んだりするだけです。
ですから、厳密な意味では償却資産税というものはなく固定資産税の一種であり、実務や慣例的には土地や家屋に対する固定資産税と区別する意味で、償却資産税と呼ぶこともあるということです。
土地、家屋とは取り扱いが異なる
償却資産税は、一般的な固定資産税とは大きく取扱が異なります。
まず、償却資産税は事業者にしか課税されません。
というのも償却資産というのが、いわゆる有形固定資産で事業供用されているものであるため、事業者しか課税されないのです。
そして、土地や家屋は登記制度に基づいて行政側が捕捉できるのに対して、償却資産は登記制度がありませんから、事業者が申告しなければならないのです。
固定資産税は賦課課税方式といって、課税する側が税額を計算して通知してくる方式なのですが、償却資産はその計算のための材料を納税者が提供しなければならないという矛盾を抱えているのです。
万人にかかるわけでもない
事業者
償却資産税が混同されやすい理由として、マイナーな税金(認知度という意味で)であることが挙げられます。
固定資産税は非常に多くの人に課税されるため知名度が高いのですが、償却資産税はごく限られた事業者しか課税されないのです。
償却資産は、事業用の有形固定資産のうち自動車税の対象となるものを除きます。
更に免税点といって一定金額までは課税されないこととなる金額が設定されており150万円までは課税されません。
結果、それなりの設備を有する事業者しか課税されないため、事業者全てがその存在を知っているわけでもないのです。
税理士
また、税理士は税の専門家でありますが、固定資産税に詳しい税理士は実は非常に少ないということもあります。
これにはさまざまな理由が考えられます(試験に合格している税理士が少ない、専門として扱うにはマネタイズが難しいetc)が、詳しい人が少なければ、固定資産税の一種である償却資産に対する税金についての認識に誤解が生じていたとしても、なかなか気づきにくいということになってしまいます。
個人的には名称程度の話であれば、大勢に影響がないので問題ないような気もしますが、専門家はきちんと勉強しておくべきだという謗りは免れないとも言えるかもしれません。