趣味で買った本ですが、意外とビジネスに通じることも書いてあったので書評してみます。
趣味で買った本です。
「棚橋弘至はなぜ新日本プロレスを変えることが出来たのか」
私事で恐縮ですが、僕は小学生くらいのときから(土曜夕方に「ワールドプロレスリング」がやってた時期ですね)プロレスを見出して、中学生くらいの頃には毎週欠かさずプロレス中継を見るようになって、今はなき週刊ゴング(最近復活するらしいですが…)も毎週読んでました。
かれこれ20年ちょっとはプロレスを見続けてます。「ワールドプロレスリング」からプロレスに入ったので、ずっと「新日派」ですね。
書籍のタイトルからも分かる通り、新日本プロレスは長い低迷期から脱して徐々に盛り返してきているというのが現状です。
まぁ、カンタン言えば新日本プロレスは90年代はまだまだ良かったのですが、2000年代に入って総合格闘技ブームや高橋本とよばれる暴露本などの外的事情及び主力選手の相次ぐ離脱・アントニオ猪木による無軌道な介入などによって10年ほど低迷してました。
さらに身売りも2回ほどしています。(結果的に身売りが功を奏した感はありますが)
で、この2,3年くらいでしょうか、やっとのことで新日本プロレスも盛り返してきています。格闘技ブームの終焉やファン層の入れ替わり、身売りによる自浄作用やリング上の充実などの要因があるのでしょうが、著者である「棚橋弘至」のがんばりも大きいといわれています。
当著作は、低迷期にある新日本プロレスにあって著者(棚橋弘至)がどのように考え、行動したかを記したものです。プロレスファンとしての視点から見ても面白いし、ビジネス書として読んでみても、なるほどなと感じる部分が多い良書だと思います。
本著の中で、興味深かった一説は「情報は一度告知したくらいでは伝わらない」というものです。昨今の新日本のレスラーの方は、プロモーションと称する活動に力を入れられています。
プロモーションとは平たく言えば営業活動のことなのですが、たとえば今月とか来月に興行を打つ都市にいって興行(イベント)をPRし集客につなげるというものです。一般のメディア(ラジオ)等にも出演されたりと精力的にプロモーションをされているようです。
僕がよく聞いているラジオ番組にも棚橋選手が出演されて大阪大会のPRされていたのですが、著作にもある通り『「情報はそう簡単に伝わらないものだ」と思って、何度も何度も繰り返し丁寧に発信しなければならない』を地でいくように丁寧に説明されていました。
プロレスファンの間では有名な話ですが、棚橋選手のファンサービスはとても良いです。メインイベントで勝った後には、丁寧に多くのファンの方とふれあって回っています。
そういった地道な活動が実を結んだのか、昨今では新日本プロレスの会場も凄い客入りになっています。
一朝一夕に満員になったのではなく、情報を丁寧に繰り返し繰り返し発信してきたからこそ世間に徐々に響いてきたのだろう、と。
翻って、実生活を鑑みると情報を伝えたつもりになっていても本当に相手に響いているのか?と疑問に思うことはよくあることではないでしょうか。
もちろん、情報以前の問題として中身が伴っていないといけませんが。
情報化社会にあって、一度や二度程度伝えたからといって情報はすぐには伝わらない、と。本著にもあるように「何度も何度も丁寧に繰り返し発信しなければならない」のでしょう。
プロレスラーといえば、自己プロデュースがうまく情報伝達もしっかりしていそうですが、そういった人でさえ情報はなかなか伝わらないと感じているのですから、我々のような市井の人間はもっと丁寧に繰り返し情報を伝えていく必要があるなと実感しました。
新日本プロレスファンの人には、間違いなくオススメの1冊です。