転勤に伴う引っ越しや、相続によって取得した不動産(家)の税務です。いずれも、所得税の範疇で「貸したとき→不動産所得」、「売ったとき→譲渡所得」という取り扱いとなります。
急な転勤に伴って住んでいた家を他人に貸し付けるとか、相続で取得した家を他人に貸し付けるとか、あるいは売却するとかといったことはしばしば見受けられます。
今回は、不動産を貸し付けた場合の税務を見てみたいと思います。
不動産を貸し付けた場合には「不動産所得」
不動産を貸し付けた場合には、所得税のうち不動産所得に分類されます。不動産を貸し付けたことによる儲けに対して税金がかかるということですね。
不動産所得 = 総収入金額 − 必要経費
不動産所得は、総収入金額から必要経費を差引いて求めます。総収入金額とは、家賃などの賃料のほか共益費は勿論、名義書換え料や更新料なども含みます。
これら以外にも、敷金や保証金のうち返還を要しない部分も総収入金額に含まれますが、総収入金額として計算する時期が状況によって異なるので注意を要します。
不動産所得の経費は…
無駄な税金を支払わないようにするためには、必要経費となるものとならないものをしっかりと区別しておく必要があります。
必要経費の基本的な考え方は、「収益に結びつくかどうか?」です。収益に結びつくという考え方自体が馴染みが無いものなので、ここでは代表的な「家を貸し付けた場合(不動産所得)」の必要経費をあげておきます。
・固定資産税や事業税などの税金関係(住民税は経費になりません)
・火災保険や地震保険などの損害保険料(必要経費としたものは、確定申告の際の地震保険料控除などの適用を受けられません → 要するに「不動産所得の必要経費」と「確定申告の際の地震保険料控除」の2重取りは出来ないということです)
・修繕費(金額が大きな場合には一括で費用と出来ない場合があります)
・減価償却費
・管理費、支払手数料
・広告宣伝費
・借入金の利子(不動産所得が赤字の場合、土地の取得にかかる借入金の利子については特殊な取り扱いをするので注意を要します)
また、借入金については利息部分は必要経費となりますが元本の返済部分は必要経費となりません。
不動産所得の確定申告
不動産所得がある場合には、原則として確定申告をすることになります。
不動産所得も含めた所得税は、1暦年(1月1日〜12月31日)の期間で計算をして、翌年の2月16日〜3月15日までの間に申告書を提出しなければなりません(確定申告)。
家を年の途中で貸し付けた場合には、貸し付けた時から年末までの分の所得(儲け)を申告することになります。この場合、減価償却費なども月数で按分します。