相続の事前準備は遺言だけではない

昨今の相続ブームで特に遺言を残しておこうという需要が高まっていますが、遺言だけでなく相続税対策をしっかりとしておくべきでしょう。

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遺言さえ残しておけば相続対策は万全というわけではありません。

 

相続税対策は相続が発生してから行うよりも、事前に行う事の方が有効なものも多く、早ければ早いほど、様々な対策をとる事が出来るので、遅すぎるという事はあっても早すぎるという事はありません。

 

代表的な相続税対策

生前贈与

相続税は死んだ時点で所有していた財産に対して課税されるため、死ぬ前に(生きている間に)次の世代に財産を引き渡せば相続税は原則として課税されません。

 

ただ、そういった課税逃れを防止するために生きている間に財産を譲ると「贈与税」が課税されます。贈与税をうまく軽減しつつ、財産を次の世代に引き渡していく必要があります。

 

贈与税には様々な優遇規定があり、親から子供に教育資金を一括で融通した場合や、住宅を取得するための資金を融通した場合などには一定金額が非課税となる規定もあります。

 

納税資金対策

日本のお金持ちは大抵が土地持ちです。その証拠に、相続税を納める人の持っている財産の約半分は土地だというデータがあります。

 

土地は換金が難しい財産ですので、相続が発生した際に土地はあるけれど現金が無く税金を納めるためのお金が不足してしまった。ということはよくあることです。

 

相続税は相続発生から10ヶ月以内に支払わないといけないので、納税資金を用意する時間的な余裕は限られています。いざというとき困らないように、事前に納税資金の準備などを検討する必要があります。

 

節税のための条件整備

相続税には税金を安くする事が出来る優遇規定がいくつか存在します。代表的なものは「小規模宅地の特例」で、この規定を利用すれば宅地の評価額が5割から8割減となります。

 

しかしながら、相続が発生してから小規模宅地の特例の条件を整備しようと思っても手遅れの場合があります。例えば、土地の貸借りや建物の利用状況などです。貸借りの契約をうまくしていれば税金を払わずにすんだのにと言っても後の祭りです。

 

小規模宅地以外にも、保険の活用や養子縁組の検討など有効な対策はありますが、いずれも相続が発生してからでは遅いものです。事前対策が重要です。

 

死んだ後の事も少しだけ

節税対策は早めにやっておくにこした事はありません。よく、「自分が死んだ後の事はどうでもいい」という方がいらっしゃいますが、そのおかげで遺族の方が非常に苦しんでおられます。人間誰しも死んだ後の事を考えるのはツラいものですが、ほんの少しでもいいので、死んだ後の事をご家族のために考えてあげてはいかがでしょうか。