相続財産のうちに土地があると税理士報酬が上がるわけ

相続税申告における税理士報酬は開示をしていない事務所も多いですが、開示している事務所の場合には土地があると一定金額が加算される仕組みのところが多いようです。

土地の評価は手間がかかる

 土地の評価方法(相続税がかかる金額を決めること)は倍率方式と路線価方式の2つがあります。

 

 倍率方式とは固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算する方法です。

 倍率方式では、 土地の価額=固定資産税評価額×倍率 で求められます。

 

 路線価方式とは、路線価に基づいて土地の価額を決定する方法です。路線価とは、道路に隣接する土地の1㎡あたりの値段のことです。

 路線価方式では 土地の価額=路線価×土地の面積 で基本的には求めることが出来ます。ただし、精密な評価をするには土地の状況や形状などを精査し、それらに応じて先ほどの評価額を補正しなければなりません。

 

 路線価方式の場合には特に、土地の状況や形状が大きなポイントになりますので、実際に現地に足を運んで、状況を調べたり、測量をしたりします。

 

 預貯金などの財産であれば、単純に利息などを計算してしまえば相続税がかけられる金額はすぐに求めることが出来るのですが、土地の場合には上記のように土地の状況や形状を現地で確認し、必要とあれば測量以外にも様々な資料を集めたりと手間がかかります。

 

日本の相続税における財産の大半は土地

 国税庁が出している資料などをよくよく見てみると、相続税申告の内容が見えてくるのですが、日本における相続税申告の特徴は、相続財産に占める土地の割合の高さです。

 

 大体、相続財産の半分くらいは土地になります。(金額ベースの話です。)つまり、日本の相続は大抵が土地持ちの方の相続ってことになります。

 

 そうすると、土地の評価をミスすると相続税額が大きく変わってしまいますよね。それだけ土地の評価は慎重にしなければならないわけで、裏を返せば税理士事務所においては土地の評価にそれだけのリスクを負っていることになります。

 

 リスクが高ければ報酬も高くなるという理屈であります。

 

まとめ

 土地の評価は煩雑なため手間が増えるうえに、相続財産に占める土地の割合が高いため税理士事務所としては土地の評価に大きなリスクを負う。従って、手間とリスクの関係から、相続財産の中に土地が含まれている場合には、相続税申告報酬を一定額上乗せする事務所が多い。

 

 また、土地に関しては、生活の基盤となっていたような土地については評価額を5割から8割ほどカット出来るという「小規模宅地の特例」の適用が非常に重要になります。(この規定をうまく使えば、相続税額を相当額減額することが可能です。)

 

 この「小規模宅地の特例」については、適用関係の判定が税理士であっても難しいものですから、やはりリスクは高まります。間違っても、素人が生兵法でやると大けがをするほどのものですから、相続に詳しい税理士に相談する方が良いでしょう。そういった、判断に対する報酬も土地の加算報酬に含まれていると考えられます。