事業が堅調に推移し、新たに支店を増やした場合などには「本社」「支店」とそれぞれで売上や費用を管理したほうが分かりやすいです。
「支店別」や「商品別」などで分ける
事業が堅調に推移し、売上が拡大してくると本店(本社)以外に支店(支社)を開設しますが、そういった場合には会計も少し変える必要があります。
「支店別」に売上や費用を管理する会計を「部門別会計(ぶもんべつかいけい)」といいます。通常の会計であれば「会社全体の」売上や費用しかわからないのに対して、部門別会計を導入すると「支店別の」売上や費用がわかるようになります。(「支店別」が最もニーズがあるかと思いますが、それ以外にも「商品別」や「社員別」などのように分けて管理することが可能です。)
もちろん、部門別会計を導入したからといって「従来の」会社全体の売上や費用がわからなくなるということはありませんので、ご安心を。
※ちなみに、簿記などを勉強していると出てくる「本支店会計」と「部門別会計」は別物です。ですので、「部門別会計」では内部利益のやりとりのような面倒くさいハナシはありません。時代の流れに合わせて本支店会計を簡便化し使いやすくしたものが「部門別会計」とかんがえても良いでしょう。
導入にあたって
非常に便利な部門別会計ですが、ネックは会計ソフトです。代表的な会計ソフトである「弥生会計」の場合には通常良く使われている「スタンダード」では部門別の管理ができません。
部門別の管理をする場合には、弥生会計では「プロフェッショナル」が必要です。「スタンダード」しか持っていないという方は、アップグレードで対応できますので慌てなくても大丈夫です。(スタンダードからプロフェッショナルへのアップグレードはそれぞれの差額の約4万円ちょっとです。)他の会計ソフトの導入にあたっては、部門別会計に対応しているかどうか確認する必要があります。
「プロフェッショナル」 に変えると、導入の画面が上の画像のように変わります。「部門設定」というのがスタンダードに比べて増えています。ここから「支店別」で管理をするのであれば支店を登録します。
損益項目のみ管理する
部門別会計を導入する際のポイントとしては、「損益項目のみ」部門管理するということです。
通常、会計ソフトで管理するのは 、売上や費用のような損益計算書に記載される項目である「損益」と、財産や債務などといったストックで貸借対照表に記載される項目「資産負債」があります。
中小・中堅企業が利用する部門別会計では、「経理担当者の力量」や「情報と手間の費用対効果」を考慮し、「損益」項目のみ部門別で管理します。(簿記を知らなくても、なんとかなるのが「スタンダード」ですが、「プロフェッショナル」の場合には、ある程度の簿記知識が必要となります。特に導入の際。そういった意味では「プロフェッショナル」と銘打っているのは意味があるのかもしれません。)
損益項目のうち重要なものは、支店別に紐つけていかなければなりませんが、重要度が乏しく支店別に紐つけるのが難しい項目は「共通部門」(共通費)などを設定するなどといった決め事をしておくといいです。共通費は、月末などの一定のタイミングで各部門(支店など)に振り分けます。
この振り分けのことを「配賦(はいふ)」といいます。部門別会計を導入しても、普段のデータ入力などは従来と大きく変わりませんが、最初の「導入」と配賦などの「設定」が少し専門知識が必要となるので、知識のない人は勉強するか、税理士などと相談しながら導入したほうが良いでしょう。