勘定科目を丁寧に設定することは良いことですが、細かくしすぎると帳票が読みにくくなり、かえって実務の妨げになることがあります。この記事では、科目設定の「ちょうどよい加減」について、実務的な観点から解説します。

勘定科目は細かすぎても逆効果
「取引内容」を端的に表した科目(ラベル)のことを勘定科目といい、経理の場面では、勘定科目ごとに金額を集計していきます。
この勘定科目をやたらと細かく設定しているのを見かけますが、細かく設定しすぎてもかえって見づらいだけです。
見づらいと、大切な情報を見落としてしまい、細かいことによって得られる情報よりも見落としのリスクや損失のほうが大きくなります。
経営者や、経理の方は自分の会社以外の決算書類等を日常的に目にすることが少ないので、自社の勘定科目数が普通だと思ってしまいがちです。
思い込みによって、経理業務が非効率になる最たる例と言えるでしょう。
最適な勘定科目数とは?実務上の目安
一般的には、勘定科目数は30くらいがちょうどいいと言われています。
根拠があるのかないのかよくわかりませんが、個人的にはパソコンなどの画面で画面をスクロールしなくてもほどんどの勘定科目が見れるくらいの数が良いと思います。
パソコンの画面やモニターは、大きさがまちまちの場合が多いので、紙に打ち出したときに一枚に収まるという考え方でもいいかもしれません。
紙媒体に打ち出す必要は感じませんが、紙のほうが見やすいという需要が一定数あるのは事実なので、紙一枚くらいというのはいい目安でしょう。
この場合、貸借対照表と損益計算書で各一枚と考えればよいでしょう。(これも文字の大きさによるのですが、標準的な大きさとして)
帳票は「読む人目線」で作るべき理由
20年ほど前ですが、A3の用紙に会計データが細かな文字でびっしり載せられた書類を渡されたことがあります。
よく見ると「金額的に重要性の乏しそうなもの」も多くあり、目がチカチカしてとにかく見づらかったです。仕事だから見ましたけれど、そうでなければ間違いなく読みたくありません。
見る気のしない書類を頑張って作ったところで、意味のないことです。
いくら頑張って細かく書類を作っても、見られなければ意味がありません。金額的に重要性のなさそうな科目はなくしていき、似たような科目は統合していくことで数を絞っていくというのがいいのではないでしょうか。
会計に携わる仕事は、細かくすればよいというものでなく、情報の重要度も考慮してまとめることが必須です。