専門家の「質」は差が激しい?

専門家の「質」は差が激しいという話を聞きました。私は税理士しか分かりませんが、そうとも言えるし、そうでないとも言えます。

経験の差

これはあまり関係ないように思います。税法の範囲は広大で、どこまでやっても初めての業務にあたることはしばしばあります。

それに、一人の税理士(あるいは担当者)が関与できるクライアントの数は(物理的に)限界があるので、経験値が極端に低い以外はそんなに変わらないというのが実感です。

ただ、勘の良さというかアンテナが高いというか、そういった差はあります。

これは、勤め人の税理士と独立開業した税理士の差によく見られます。独立開業すると、全て自分の責任ですので、深く考えますし、そうすると勘の良さとかアンテナの高さも自ずと高まります。

能力の差

試験に合格しているのであれば、そこまで大きな能力差があるとは思えません。

ただ、専門家という職業は、試験に「受かってから」のほうが勉強をしなければならないことも多くありますので、勉強している人とそうでない人との差はあるでしょう。

はたから見ると、「みんな勉強してるに決まってる」と思っていても、高校の頃を思い出せばわかる通り、もとは同じくらいの偏差値の人間が集められてもコツコツ勉強する者もいれば、まとめてする者もいるし、全くしない者も一定数いたはずです。

能力というよりも、それなりに勉強し続けているのかどうなのかという性格の問題でしょう。(専門家を志す人は割と勉強熱心な人が多いのですが、中には商売の方に熱心で…という場合もあります。悪いわけではないですが、バランスの問題でしょう。)

相性の差

専門家というのは「人」が提供するサービスなので、「相性」というものがあります。

税理士を変更して、「前の税理士より良くなった」と聞くことがよくありますが、その要因の半分くらいは相性でしょう。(不満があるから変更するわけで、良くなったという方が多いのは当然ではありますが)

偉そうに喋る人も見方を変えれば、規律にキッチリした人とも言えるし、
言質を取らせない話し方の人も見方を変えれば、柔軟で慎重な対応とも言えますので。

会計や経理という業務は、単なる数字の取りまとめでなく、数字を処理する上で判断や意図などの主観が入り込みます。

なぜなら主観が入らないと、会計や経理は実態を表さないからです。
だから、人が介在するサービスや業務となるわけで、人が介在する以上は必ず相性がついて回ります。

相性の見極めは難しく、必ず「これ」といった方法があるのでは無いのが悩ましいところです。ネット全盛の今でも、知り合いの経営者などに紹介をしてもらうという方法が根強く残っているのは、人の紹介なら「ある程度」は相性などが担保されていると考える人が多いことの理由かもしれません。