税金の世界で最も重視されるのは「対応」という考え方

税金の世界では対応という考え方が重要視されますから、この考え方を覚えておけば、「何が経費になる・ならない」みたいなことは見えてきます。

収益-費用=利益

事業は利益を得るために行っていて、利益は収益と費用の差額で求められます。
収益は売上などの、いわば頑張った「成果」のこと。そして、費用は売上原価や地代家賃などのように、その成果を得るために「犠牲になったもの」です。

要するに、事業を「頑張って得られた成果」から「それを得るための犠牲」を差し引くということは、この2つが合理的に「対応」していなければなりません。

売上と売上原価の関係は…

商品を売って売上を得た場合、商品を売った金額が売上で、それを仕入れてきたときの金額が売上原価。

同じ商品を通じて「対応」しています。
売れていない商品は、対応しませんから、商品(在庫)として決算書に残ります。(売上原価にはならない)

売上と地代家賃の関係は…

売上と売上原価は、商品という物質を通じて対応が明確ですが、売上を得るためには、店も必要だし電気代や売る人の給料なども必要です。

しかしながら、店の家賃(地代家賃)などは売上と商品などを通じて直接に対応するわけではありません。

仕方がないので、「期間」を通じて対応させます。
4月に売れた商品の「売上」と、4月分の「家賃(地代家賃)」は、同じ期間に生じていますから、売上を得るために必要な家賃ということで「対応」しているわけです。

犠牲になってないとダメ

商品を通じて直接に対応するにしろ、期間で間接に対応するにしろ、最初に述べたとおり、成果を得るための犠牲が費用です。
税の世界では費用を経費などといったりしますが、概ね同じ意味です。

「経費になる・ならない」がよく問題にされますが、直接又は間接に対応する大前提は、「成果を得るために」犠牲になっていないといけません。
言いかえれば、売上を得るためとは関係なく支出しているようなものは、犠牲になったとは考えられません。

同じ「食事代」という括りでも、取引先と商談などのため食事をともにすれば「会議費」などの経費となるのに対し、単にお昼ご飯を自宅で食べただけであれば、売上を得るための犠牲になったとは考えられません。

言い換えれば、事業をしていなければ支出していなかったものが「犠牲になったもの」ということです。何らの犠牲も払わずに利益だけを得られるということが無いのは、商売に限らずすべての物事に共通することです。