従業員・取引先・税務署・家族…全てにいい顔をするのは無理

経営には関係者がつきもので、それらは密接に関わっています。

主な関係者4つ…従業員・取引先・税務署・家族

経営者の主な関係者としては、従業員・取引先・税務署・家族の4つです。

①従業員

人を雇わないポリシーの会社も増えてきていますが、人を雇わないと成り立たない業種も多くあります。
従業員も経営者に関わる利害関係者といって差し支えないでしょう。
従業員はうまく使えば味方にもなるし、使い方が悪ければ敵にもなります。

②取引先

事業を行うには、物事の全てを内製化する(自社で賄う)ことは困難ですから、様々な取引先とのやりとりが生じます。

取引先も、やはり持ちつ持たれつの関係にあり、良好な関係を気づくことが安定的な経営の一つの条件となります。

自社だけが得しようとあまりにも無茶な条件を吹っかけたりすると、短期的には利益を産んだとしても、しっぺ返しが必ずきます。

③税務署(役所)

事業を行うと税金を払わなりません。

事業の種類によっては、許認可が必要になるものもありますから、役所との付き合いも生じます。
社会の構成員として事業を行う限り、守るべきルールは数多くあって、それを逸脱すると社会から放逐されます。

と考えれば、役所自体は密に接触する必要のないものではありますが、その存在を意識して事業に取り組む必要はあり、やはり関係者となるでしょう。

④家族

事業をするにあたっては、家族の協力や理解は欠かせないものでもあります。

完全に家族と事業を切り分けられるという人もいますが、家族である以上は、なんらかの影響を与えて受けています。

特に、同族経営などを行っていれば一蓮托生ということが如実に見て取れるでしょうし、そうでなくても家族なのだからなんらかの助けを得たり、迷惑を掛けたりはしています。

これら4者は密接に関わっています。

経営者が格好をつけて、身の丈以上に従業員に給料を払い過ぎれば、自分の手取りは減りますから、家族に迷惑を掛けますし、逆に自分が取り過ぎれば従業員に不満がたまるでしょう。

得意先のいいように仕事を受けると、従業員に皺寄せがいって苦しむこともあれば、逆に従業員に甘くし過ぎて取引先からソッポを向かれ、取引を打ち切られたり。

従業員に利益還元をしようと行き過ぎた節税をして、税務署から突っ込まれたり。

時間とお金はかぎりがある

「従業員に給料をいっぱい払ってあげたい、決算は黒字で終えたい、税金はあまり払いたくない」というような考えの経営者が一定数いますが、すべては密接に関わっていますから、全部を叶えるというのは無理です。

従業員に給料をたくさん払えば、法人税等は減るかもしれませんが、黒字で決算を終えられるのかはわかりません。

決算を黒字で終えれば一定の税金は発生しますから、税金をあまり払いたくないと矛盾する場合もあるでしょう。

時間とお金が無限にあれば、全てを成り立たせることは可能かもしれませんが、経営を考えるにあたって時間とお金を無視することはできません。

結局はバランス

時間とお金には限りがあるため、会社を取り巻くすべての利害関係者に「いい顔」をするのは無理です。

また、これらの利害関係者に優先順位をつければ良いのかと言うと、決してそうではないでしょう。
古いドラマなどで配偶者から「仕事と私どっちが大事なの?」という詮ない質問がありますが、同じことです。

仕事がなければ家族は成り立たないし、家族がいなければ仕事をする意味は無い。
従業員・取引先・役所・家族と、どれもが優先順位をつけられませんし、どれかを粗雑に扱って欠けてしまうと経営(人生)は破綻します。

「従業員に給料をいっぱい払ってあげたい、決算は黒字で終えたい、税金はあまり払いたくない」という寝言のようなことを言うのではなく、どこまでそれぞれについて妥協できるかのバランスを考えなければなりません。