「終の住処はいつ買うべき?──共働き世帯の老後の住まい戦略」【基礎編③】

この記事は約4分で読めます。

はじめに:賃貸か持家かは“老後(属性)”で決まる

本人の属性による

老後の住まい、終の住処はいつ買うべきか?

そもそも買うべきなのか?

という問題は議論の多い問題ではありますが、本人の属性による、というのが妥当な答えでしょう。

住宅取得するのがやや無難か

相続などで住宅を取得できる見込みが高ければ、住宅を購入する必要はありませんし、

いつでも住宅を購入できるほど潤沢な収入や金融資産があるならば、現状は賃貸の自由さや身軽さを満喫することも合理的です。

逆に、そのような属性でなければ、つまり相続などで住宅を取得する見込みもないし、そこまで潤沢な収入や金融資産があるわけではない、などの場合には、老後の住居費を軽減するためにも、住宅は取得した方が無難そうです。

老後に住む場所がないというリスク

「老後の住む場所」問題

このブログはリスクヘッジを優先的に考えるというスタンスですから、リスクという観点で考えましょう。

老後に住宅がない場合、住む場所にかなりの制約がかかります。

まず、高齢者は賃貸物件を借りづらいという問題です。高齢者は死亡リスクや滞納リスクなどが高いですから、オーナーが貸したがりません。

貸したがらなければ、借りられる物件は限りがあるということになり、借りれたとしても理想的な物件でない、といくことになります。

「家賃を払い続ける」問題

現状、賃貸物件に住んでいるから、そこに住み続ければ大丈夫だ、との意見もありますが、オーナーの方針が変わり立退を要求される可能性もあります。

法律的には借主の権利が保護されているとはいえ、立退を求めているオーナーの物件に住み続ける、というのはそれなりの不利益も覚悟しなければなりません。

さらに、老後は収入が減るにもかかわらず、家賃支払は一生続くという問題です。

生きている限り、いつまでも家賃を支払い続けるということは、いつまでも家賃が家計を圧迫し続けるということです。

現代住宅の寿命と買い時の関係

一生「住める」(条件付きで)

住宅購入するとして、その家に「一生」住めるのか?という疑問が湧いてきますが、条件付きですが一生住むことは可能です。

会計などで設定される耐用年数は、経済的な価値が有効な期間ですので、実際には会計の耐用年数よりも長く使える、というのが現実です。

また、耐用年数は「事業用」のハードな使い方を前提としているので、住宅は「非事業用」ですからマイルドな使い方ですよね。

税の世界でも、非事業用は耐用年数が1.5倍になります。

ですから、一般的な「新築」住宅であれば50年程度は充分もちます。

新築かつ充分な管理

条件付きで、一生涯住めるとしたのは、中古であれば、老朽化が進んでいる可能性もあるため、場合によっては一生住み続けるのは難しい、ということですね。

中古であっても適切な管理がなされていれば、一生住むことは可能でしょうが、適切な管理を見極めるのは我々素人(つまり不動産関係でない人)には不可能なので、中古物件は慎重に対応した方が良いでしょう。

日本では、新築信仰が根強いですが、今までのことを考えると、あながち的外れではないのかもしれませんね。

もしもの住み替え・売却戦略

税金よりも自宅の価値を優先

終の住処にしようと思っても、途中で事情が変わることはあり得ますから、住み替えや売却のための戦略は必要です。

ただ、そんなに難しことはありません。

というのは、住み替えなどで自宅を売却するとなった場合、所得税では売却益から3,000万円を控除することが可能となっています。(厳密には細かな要件がありますが、一般的な住宅にそれなりの期間住んでいれば大抵は要件をクリアします)

ですから、住み替えや売却において考えるべきは税金よりも、価値が下がらないことを優先すべきです。

選択肢を広くするためオーバーローンは避ける

価値が下がれば、新たな住処の購入原資が目減りしますので。建物は適切なメンテナンスでしょうし、土地は立地条件ですね。

マンションも基本的には同じです。

そして、別記事で詳述しますが、オーバーローン※を避けることです。

※住宅の価値がローン残高を下回る状態

オーバローンにならなければ、借金は残りませんから、住み替えや売却の柔軟性が格段に上がりますが、オーバーローンだと選択肢が無く詰んでしまうことも。

まとめ:早めに確保しておくことで“選択肢”が広がる

住宅取得をいつするのか、はいつまで住めるのかと密接な関わりがありますが、

基本的には一生涯住めるので、必要となった時に購入することが合理的です。

早めに住宅を取得すれば、ローンの返済も楽になりますし、住み替えも含めて選択肢を多く持つことが可能となるからです。

老後に住宅取得が難しい、つまり一般的な属性の人は必要になったら早めに住宅取得すれば良い、というのが結論です。

住宅取得の全体像や基本戦略をまとめた記事はこちらをご覧ください。
 →共働き世帯のための住宅取得戦略−資産形成・リスク管理・老後対策の観点から