
はじめに:住宅取得は“税制優遇の塊”
日本では持家政策を促進しています。住宅取得は経済への波及効果が大きいこと、このブログでも触れている通り、老後の住まい対策などが大きな理由です。
資産形成を有利に進めるには、税制優遇を活用して「加速」をつけることが重要です。
住宅ローン控除の本質と使い方

大まかな仕組み
住宅に係る税制優遇で最もポピュラーなのは住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)でしょう。
住宅ローンの年末残高の1%弱(適用年によって変わります)を所得税から控除し、所得税から控除しきれなかった一定額は住民税からも控除するというものですね。
簡単なポイントと注意点
単純計算でローン残高が3,000万円で1%の控除受ければ税金が30万円も減額されますから、住宅費の軽減にもなるし、資産形成にも「加速」がつきます。
ただし、住宅に対する制度なので、自己居住用物件で実際に居住の用に供していなければいけませんし、居住年からの適用ですから、注文住宅などは「いつ」住めるかは意識する必要があります。
親からの資金援助を最大化する

住宅取得等資金の非課税(贈与税)
住宅取得に際して、親から援助を受けるという方法にも優遇があります。
親からお金や財産をもらうと、基本的に贈与税が課税されます。
ただし、「住宅取得等資金の非課税」の制度を利用すると、贈与した金銭のうち一定額が非課税となります。(適用年によって非課税限度額が変わりますが概ね1,000万円程度です)
仮に1,000万円を親からもらうと、贈与税は約200万程度ですが、この制度を使えば申告などの手続は必要なものの、税額は「0」になります。
手続きよりも他の親族への配慮が最も重要
細かな要件はありますが、一般的な住宅取得であれば要件を満たすことがほとんどのため、どちらかと言えば気をつけるべきは、他の親族との不公平感などを考慮することの方が重要です。他の親族への配慮(つまり他の親族にもそれなりの金銭的な補償をするということですね)がないと、親の相続の際の火種となりかねませんので。
また、贈与はタックスプランニングが極めて重要ですから、相続,贈与に詳しい税理士に相談することも必須でしょう。
固定資産税の優遇

新築住宅の減額
住宅を新築すると、固定資産税(建物に係る部分)が一定期間(3〜5年程度)減額されます。
固定資産税は、固定資産(土地や建物など)に課税される税金ですが、「保有」に対しての課税のため、毎年支払う必要があります。
ですけら、固定資産税が一定期間とはいえ減額されるのは、住宅取得でダメージを受けた家計を回復させる一助となるでしょう。
注文住宅だと更にメリットも
固定資産税は賦課課税(行政が税額計算し納税額を通知する制度)のため、特にご自身で何かをする必要はありません(不動産取得税の申告が必要な場合がありますが大した手間ではないです)ので、勝手に減額されてる、という感じの制度です。
ただ、長期優良住宅や一般の住宅でも一定の要件を満たすと、固定資産税の減額が有利に取れたりするので、注文住宅などであれば、建築会社と相談するのもかなり有効です。
(建売だと住宅の仕様変更がほとんどできませんから、要件を満たすように住宅を変える、ということができないケースが大半です)
相続時の小規模宅地等の特例とは
相続を見据えた住宅取得をする人は少ない
住宅取得に際して、ほとんど考慮されていませんが、自身の相続に際しての相続税負担を軽減する制度もあります。
自宅敷地のような、生活基盤となる土地については一定の要件を満たすと、その相続税評価額を50〜80%減額できるという「小規模宅地等の特例」があります。
使えれば効果絶大なので「選択肢」を残す
制度の趣旨としては、生活の基盤となるような土地に多額の相続税をかけた結果、そこで暮らす家族などが、その土地を失わないように、税制優遇を図っている、というものです。
従って、その土地を相続に際して取得する人に縛りがあるなど、要件は厳しいですが、相続税をかなり減税できる制度なので、その含み・選択肢を残すためには、住宅取得は「かなり」有効です。(なお、この制度はマンションの敷地にも適用可能なので、住宅取得全般に適用可能といえます)
まとめ:持家の“税金効果”は見逃せない
住み心地やライフスタイルベノ適用度などは持家も賃貸も、それぞれの一長一短があり、どちらが優れている、といったことは断言できませんが、
税金を考慮した資産形成への寄与を考えると、持家に分があります。というか、持家一択でしょう。
これらの制度を使う、使わないで、自身の資金繰りや資産形成だけでなく、子供世代に引き継げる財産も大きく変わりますから、制度の活用を検討すべきでしょう。
住宅取得の全体像や基本戦略をまとめた記事はこちらをご覧ください。
→共働き世帯のための住宅取得戦略−資産形成・リスク管理・老後対策の観点から
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