取引相場の無い株式とは、要するに非上場株式のことなんですが、相続税の評価(税金がかかる金額を計算すること)はとっても複雑です。
上場している株式であれば、市場で取引をしているので評価額がすぐに分かります。株の銘柄などを入力してインターネットで検索すればすぐに調べられます。
ところが、上場していない株式(取引相場の無い株式)は上場していないので金額が分かりません。
でも、相続税をかけないといけない場合どうするのか?
その株の値段を計算します。
取引相場のない株式が厄介なのは、取得した人によって価値が異なる点にあります。
たとえば、会社に対して影響力の大きい人がその会社の株式を取得すれば、会社を(株の力を通じて)思いのままに使えるので、株の価値が高いのですが、逆に会社に対して影響力の小さい人がその会社の株式を取得しても、自分の思い通りには会社を操れないのでそこまで大きな価値はありません。
したがって、取引相場の無い株式を評価する上では、その株式を取得する人が会社に対してどの程度影響力を持っているのかを確認する必要があるわけです。(具体的には、株主名簿を見て議決権をどのくらい持っているのか確認します。)
この議決権の考え方も、個人ベースで考えるのでなく、家族ベースで考えていきます。たとえば、オーナー一族に属する人が株式を取得した場合と全くの他人が取得した場合では影響力は違いますよね。
そういった、会社への影響力の大小から取り扱いが少し異なってきます。
さらに、取引相場の無い株式と一括りに言っても実態は様々です。家族だけ或は社長一人でやっているような中小零細企業もあれば、上場はしていないものの実態は上場会社を遥かにしのぐような規模の会社もあります。
ですから、会社の規模に応じて取り扱いをかえていく必要があります。
最終的には、同種同業の会社の株価を一定の方法で修正した価格(類似業種比準価額)や、その会社の正味の財産価値を一定の方法で計算した価格(純資産価額)を、取得した人の会社への影響力や会社の規模に応じて組み合わせて評価します。
類似業種比準価額や純資産価額の計算は、会社の数字を色々と集めてきて計算する必要がありますので、税務申告書類など様々な書類を必要とします。
このように、取引相場の無い株式の評価は様々な資料を集め、取得者の状況や会社の状況も考慮に入れつつ計算をしなければならず、比較的高額になりやすいため計算に伴うリスクも大きくなるので、相続財産の中に取引相場の無い株式があれば、税理士が頂戴する相続税申告の報酬も値上がりするというわけです。