個人事業主は「保険で貯蓄」はNG

保険で貯蓄をしようとすると、特に個人事業主の場合は様々なことを考慮しなければならないため失敗しやすいので注意が必要です。

保険で貯蓄はNG

保険とはそもそももしもに備えるためのもの

保険とはそもそも、「もしも」のときのために備えるものです。

怪我や病気をして収入が途絶えると困るから、とか、入院するとお金が厳しいので…とかそういったことです。

「もしも」というのはめったに起こらない、けれど「起こったときに」非常に困るし厄介なので、保険に頼るわけです。

ですから、リスクを正確に見積もってリスクに見合った保険に入ることが重要です。

サラリーマンほど単純ではない

個人事業主などの場合、確定申告書を正確に読めるのかという問題もあります。

サラリーマンであれば、給料の金額がわかればどのくらいのお金をもらっていて、年齢や家族構成からある程度のリスクは推察できます。

しかしかながら、個人事業主は確定申告をして、つまり自分の儲けを自分で計算してそれに応じて税金を支払います。

個人事業主の場合、どうしても事業とプライベートの境目が曖昧だったりするので、手取り収入がどのくらいかの正確な見積もりもしにくいですし、サラリーマンのように安定して一定のお金が入るというわけでもありません。

日本の納税者の多くは、給与所得者(サラリーマン)ですから、多くの制度がサラリーマンを前提としています。

ですから、多くの人に良い保険であっても個人事業主の「あなた」にとっては良い保険でない可能性もあるわけです。

サラリーマンであれば、手取りが安定しているので多少高めの保険に入ってもなんとかなることもありますが、個人事業主の場合には最低限の保証は必要にしても、手元にある程度のお金を残しておくほうが有効な場合も多いです。

貯蓄するとなると別の金融商品

保険とはそもそも、もしもに備えるためのものです。

が、本来の機能から離れて貯蓄を行うための「保険」もあります。

これは「保険」なのでしょうか。貯蓄をするとなると、本来の保険とはまた別の「金融商品」だと思います。

金融商品であれば、保険とはまた「別の」知識が必要です。

株式投資をする人が、熱心に株式やその周辺のことなどを勉強するのと同じく、勉強しなければなりません。

保険は自分のリスクを適切に見積もって加入すべきもの。そして、貯蓄となると保険とはまた別の知識が必要。

さらに、個人事業主は自分のリスクを適切に見積もるのがサラリーマンに比べて難しい。

となると、個人事業主が保険で「貯蓄」をしようとなると失敗する確率が高まってしまうというわけです。

自営業者であれば

必ずしもすべての個人事業主に当てはまるわけではありませんが、私が考えるセオリーを申しますと…

保険や貯蓄、借金などは人によって考え方が違います。家もそう。持ち家がいいか賃貸がいいか。結論は出ません。

ですので、自分のスタンスを明確にすべきでしょう。そういった意味で私の考えるセオリーです。(当然のことながら、他の考え方を否定するものでもありません。)

①個人事業主は手元のキャッシュを少し厚めに持つ

個人事業は安定性に欠ける面があります。経営はいいときだけでなく、必ず悪いときもあります。

悪いときのためお金をためておくというのは有効でしょう。

困ったときに必ずしも融資が受けられるとは限りませんので。どのくらいの現金(キャッシュ)を持つかは顧問税理士と相談して、目標を定めて実行していけばよいでしょう。

ときには税金を多く払ってでも手元のお金を残すようにする必要もあるでしょう。(税金を払わないとお金がたまりません)

②保険はなるべく掛け捨てで

個人事業主は、リスクの見積もりがサラリーマンに比べて難しいですから、保険で貯蓄は考えないほうがいい。

手元キャッシュを厚くするためにも、いざというときに機動的にお金を動かせるようにするためにも、掛け捨て保険にして保険料負担を抑える。

ただ、保険がないというのは無謀ですから、掛け捨てでリスクをカバーするというわけです。

③将来に備えるならば

個人事業主が、老後資金など将来に備えるならば、まずは小規模企業共済制度の活用を考えるべきでしょう。

個人年金よりは税金面で有利ですし、増額減額にも柔軟に対応できるので、使い勝手もいい。(中途解約すると損するのが多いのが難点ですが…手元のお金がある程度あるという前提の話。借金して貯蓄する…どう考えても矛盾してますし、支払う利息で損。)

個人事業主で、小規模企業共済制度を使いつくしたら、法人化などを検討しても良いでしょう。法人化を検討しない規模感であれば、おそらく小規模企業共済制度を使い尽くすことはあまりないでしょうし、もしそうならそのときに個人年金などを少しやってみるのもいいでしょう。

お金には色がないので

お金には色がないとよく言われます。手元にあるお金が何のお金なのかわからないということです。

特に個人事業の場合は厄介で、手元にあるお金が事業のお金か、プライベートのお金か、使っていいのか、何らかの支払い(税金含む)のためのものなのか、分かりづらいです。

そんなときに、リスクに備えるのか貯蓄なのかよくわからないまま支出を決めるとどっちつかずになり失敗しやすい。

事業のお金とプライベートを分けるのが大事なのと同様、支出についてはリスクのため、貯蓄のためと、明確に切り分けたほうが無難そうです。