給料を決めるときの失敗〜はじめから目一杯だす

自分で会社をはじめて(はじめようとして)、人を雇うとき陥りがちな失敗は「目一杯払う」です。

給料を目一杯だす

人に対する支出は給料だけではない

人に対する支出は「給料」だけではありません。最も大きな負担は社会保険料です。

社会保険料とは、病院に行った際に一定額を負担してくれる「健康保険」と、年齢を重ねて働けなくなった際に受け取るための「年金保険」を指します。(さらに失業した場合に受け取る失業保険のための「雇用保険」も含める場合もあります)

社会保険は、従業員と会社が折半して負担します。ですから、給料だけでなくその従業員の社会保険料も支払わなければなりません。

現在は会社負担がおよそ14%です。(従業員も同じだけ負担してますが、従業員は会社が負担していることを知らないことも多く、経営者としてはやるせない気持ちになることも…)

それ以外にも健康診断や、通勤のための交通費、職種によりますが制服代など…様々な支出があります。

はじめから給料に目一杯だしていると、それ以外にも支出があるため資金繰りを圧迫します。

前の職場の給料は参考にならない

人を雇う際に、前の職場の給料を参考にするということが多かれ少なかれあります。

ただ、前の職場の給料にこだわりすぎると痛い目にあうので、前の職場の給料は絶対に保証するとかは無理せずに考えるべきでしょう。

というのは、前の会社と「あなたの」会社は業種や業歴、規模から何から違います。

さらに言えば仕事内容も違います。

例えば…同じ経理の職であったとしても、経理処理の考え方、順番、決済の権限etcと社内ルールは会社によって違うわけですから、仕事が違うのに給料が同じというのは矛盾しています。

とはいえ低すぎる給料を提示するのも忍びなく、なかなか難しいところですが。(最初から相談できる税理士などと知り合っておくというのが無難なのでしょうか)

はじめから目一杯だすとあとがつらい

はじめから目一杯だすとあとがつらいです。

経営者になるまでは「給料日」というのは貰う日でしたが、経営者になると「払う日」です。

給料の支払いはとてもつらく、遅配などもっての外です。(給料を払うのは当然なのですが、これみよがしに従業員にいうと、従業員の心はあっという間に離れます。ええ、それはもう見事に…笑)

ただ、払う方からすると思いのほか仕事ぶりが良くなかったりすることはあります。でも下げられません。(法律的な問題よりも、社内統治上)

下げられないし、給料日には必ず払わなければならない。しかも給料以外にも、会社の負担はある。

従業員も不幸では?

給料を目一杯出したければ(出せるのであれば)、それでも構わないと思うのですが。

ただ、給料を目一杯だすと、従業員への要求する水準も知らずにあがってしまいます。

これだけ払っているのだから、このくらいやって当然…みたいな。

先にも述べたとおり、職場が変わればいろいろと変わるので、優秀な人であってもすぐに能力を発揮できない場合も多くあります。慣れるまで時間もかかるでしょうし、即成果につながるとも言えません。

目一杯だして、成果が出るまで耐えられる体力が会社にあって、経営者にその度量があればいいのでしょうけど…、ハードルが上がり過ぎるとお互いが不幸です。

上がり幅を残しておく

経営者は一定の期日までに給料を払い続けなければならないわけですが、給料の金額はちょっとずつ増やしていかなければなりません。

たとえ最初に目一杯だしているとしても、従業員はそんなことは知ったことではないから、もっとほしいと思います。

その社員の働きぶりに不満があるとすると…一悶着ありそうです。

逆にとても良くやってくれる社員だったら、やはりその働きには応えたいものですが、最初から目一杯だと上げ代がありません。無い袖は振れませんので。

社員のモチベーションをコントロールし、主従関係を明確に見せるという意味でも(言葉は悪いですが、大事なことです。恩義をめちゃくちゃ感じまくってくれる人間ばかりではないので)、最初から目一杯ださずに、上がり幅(上げ代)を残して置くほうが何かと好都合ではないでしょうか。