経験は強みにも弱みにもなる

経験というのはあったほうがいいと思われがちですが、強みにもなるし時として弱みにもなります。

経験の強み

税理士業において経験はあればあっただけ有利と考えられがちで、そういった側面があることは事実です。

税理士業をはじめ、法律を扱う専門家は、様々な判断を求められ迫られます。

だから、どういったときに判断が必要なのかの勘所を知っていて、さらにその判断の根拠を数多く有しているほうが、有利です。

役員退職金を例に考えれば、役員が辞めるとなりそうなときに、「役員退職金は調査のときに危ないから、気を付けないといけない」とまず気づくこと。やはり場数がある程度はものをいうし、場数が少しばかり足りなくても勉強という経験でもカバーできますから、やはり「経験」は有利です。
そのうえで、「役員退職金の何が問題になりやすいのか?」→金額?功績倍率?分掌変更?etcとリスクを考えて、対応策を練る。

法律だけでなく通達や判例なども知っておいたほうがより柔軟に対応できますから、「経験」があった方が有利です。

経験も根拠もない…

経験はあったほうが良い場面も多くありますが、正しい方法で身につけた経験でなければ意味がありません。

たまにいますが、経験も根拠もなく仕事をしている人もいます。一番悪いパターンですね。

でも自分では気づきにくいので、戒めとしなければならないと思います。

新しい方法に変えたくない

人間の性質として、従来のやり方を変えたがらないというものがあります。
古参の経理マンが、古くからのやり方にこだわって手書きの伝票や帳簿などに固執するというようなものです。

このような例は枚挙に遑がなく、極めて原始的なことからチョット古い程度のものまで様々です。
人は一旦身につけた「正解にたどり着く方法」を変えたがりません。正解にたどり着く方法があるにもかかわらず、それを変えて失敗するのは危険だという考え方ならばまだマシで、知識や技術のアップデートについていく気がないわけです。

従来のやり方にこだわって、結果、古くなってしまう。経験が邪魔をしているわけです。

要はバランス

こういった経験の良い面と悪い面というのは、本来は二元論で語られるべきものではありません。
要はバランスでしょう。
人間である以上は、経験に頼らざるを得ないところもあるし、経験が自信や信頼につながるということは確実にありますから。

ただ、経験を過信しすぎると新たなことを取り入れることができなくなり、時代のアップデートに乗り遅れて、陳腐化してしまう。

とはいえ、常に新しいやり方や技術を取り入れる姿勢をとるのは、なかなか難しいもの。常に意識していないと、取り残されてしまいそうです。