よくない決算書〜勘定科目が明らかにおかしい

決算書は、それぞれの取引を適切な勘定科目に集計しなければなりませんが、明らかにおかしい感情科目を使っているものが、見られます。

勘定科目は取引のラベル

会計においては取引を一定のラベリングを行って集計することとしています。
取引内容を端的に表すラベルが、勘定科目ですが、その取引内容の実態を最も反映する勘定科目を選択しなければなりません。
ラベルが正しく付されていないと、取引を集計したところで、その結果はなんの意味も持ちません。

正しい科目を選択するには

正しい勘定科目を選択するには、すべての勘定科目がそれぞれどんな意味を持っているのか理解しているのが前提です。
そのうえで、勘定科目がどのように連携しているのかを理解する必要があります。
勘定科目は取引のラベルですが、取引は、つまりお金のやり取りですから、お金には流れというものがあります。

例えば、商品を仕入れて、これを販売し、回収した代金の一部で経費を払い、残った利益で同じ商品を仕入れる…
というように、お金には流れがあり、その取引を写し取ったのが勘定科目ですから、勘定科目は繋がっているのです。

どんな科目があって、どのようにお金が流れているかがわかれば、正しい勘定科目が選択できるというわけです。

単に作業だけしているレベルでは…

会計データは、「取引を仕訳に変換して集計しているだけ」だと考えていると勘定科目がおかしくなります。
極端なことをいえば、同じ取引でも会社によって集計される勘定科目は変わります。
勘定科目は、その会社の実態を、最も反映するものを選択しなければならないからです。

逆にいえば、おかしな勘定科目が散見される決算書を作っている税理士や経理担当者は、作業しかしていないのです。

おかしな勘定科目はデメリットしかない

おかしな勘定科目が散見される決算書にはデメリットしかありません。
対外的には税務調査や融資の審査で不利になるでしょうし、内部的には経営判断を誤らせるという点で問題があります。
おかしな勘定科目があるということは、会社の実態を正しく決算書に反映していないことになり、そこから導かれる判断は決して正しい判断にならないでしょう。

自社の決算書を見てみよう

決算書が正しく作られているかはプロでないとなかなかわからないものですが、おかしな勘定科目を探すだけであれば、そこまでは難しくはありません。
決算書には勘定科目内訳明細書という、各勘定科目の詳細を記した書類がついてきます。
これと付き合わせて、(あるいはネットで各勘定科目にはどのような内容の取引が集計されているのか調べて)それぞれの科目がなんなのかを確認していけば、おかしな科目に気づくでしょう。
おかしな勘定科目があるのは作成した経理担当者、そして税理士が悪いのですが、それを放置している経営者も、「決算書に無関心な経営者」と見られますから。