事業を行っていると、人を雇うという局面に出くわします。人を雇う際に、いきなり正社員だと面倒も多いので、パートなどで慣れるのが1番無難でしょう。ここでは、パートをはじめて雇った時の手続きを紹介します。
概要
人を雇った場合には、労働保険と社会保険の加入がポイントとなります。
労働保険は加入が「強制」のため、必ず加入しなければなりません。
社会保険は加入が「強制or任意」となっています。
強制加入する場合は、従業員(パート)の労働時間、労働日数が一般の従業員の4分の3以上の場合です。
※労働保険とは…
労働保険とは「労災保険」と「雇用保険」の総称です。
人を一人でも雇ったら必ず加入しなければなりません。
労災保険→従業員が業務上に負傷等した場合に給付を行う制度です。
雇用保険→労働者が失業した場合等に給付を行う制度です。
労働保険の手続き
人を雇った場合には、労働保険の手続きをします。 具体的には、下記の書類を所定の提出先に提出期限までに届出ます。
給料支払時… 給料を支払う際に、雇用保険料を天引きします。
「給料の金額 × 雇用保険料率」で求めますので、仮に給料が100,000円だった場合には 100,000 × 0.5% = 500円 となります。
給料計算ソフトを使っている場合には自動で計算しますが、使っていない場合には手計算です。
※社会保険とは…
社会保険とは「健康保険」と「厚生年金保険」の総称です。
一定の要件を満たすと強制加入となります。
パートは労働時間が一般の従業員の4分の3以上だと加入することになります。
社会保険の注意点
社会保険の負担、金銭的にも事務的にも重いものがあります。
給料に社会保険などを考慮すると、額面の1.5倍程度の負担になるといわれています。
(社会保険の計算は難しいので今回は割愛しておきます)
社会保険負担は重いので、よく検討した方がいいでしょう。
給料計算(源泉徴収事務)
人を雇った場合には源泉徴収事務が発生します。
必要に応じて、下記の書類を提出します。
また、雇った人(パート)に「扶養控除等申告書」を記入してもらいます。
この扶養控除等申告書は事業主が保管することになります。
上記の「扶養控除等申告書」が無いと源泉徴収額が大きくなるので、従業員は不利です。
給料支払時… 給料を支払う際に、給料から源泉所得税を天引きします。
金額の算定方法は、扶養控除等申告書の記載内容に応じて「給与所得の源泉徴収税額表」(税務署から送ってきます。無い場合は、国税庁のHPにあります)から該当する金額を求めます。
たとえば、従業員の「扶養親族の数」が0、給料の金額が100,000円の場合には さきほどの「給与所得の源泉徴収税額表」の当てはまるところを見つけて、720円を天引きします。
給料計算のとき(まとめ)
パートの場合には給料から天引きするのは2つあります。
①雇用保険料
②源泉所得税
上記の例ですと、給料100,000円、雇用保険料500円、源泉所得税720円となりますので、 差額98,780円を従業員に支払うことになります。
負担率や税率は記事執筆時の数値を使用しておりますので、時間の経過とともに変わる可能性があります。ご了承下さい。