税金を計算する上で、適用を受けると税額を減らしたりと納税者に有利になる規定にはたいてい申告要件がついています。
相続税や贈与税でいう「申告要件」とは、有利な規定を受ける代わりに申告書を提出するってものです。言い換えれば、申告書を出すことを条件に有利な規定を受けさせてあげるってことですね。
以前にも紹介しましたが、例えば「住宅資金の非課税」の規定なんかもその一例です。非課税の適用を受けたければ、申告書を出しなさいと。たとえ税額がゼロであっても。
(参考)申告するのは自分のため
ただ、申告をすれば有利な規定が受けられるって訳ではなく、その規定の適用が受けられるかどうかしっかりと判断をし、要求される書類や資料を添付する必要があります。
たまーに、税理士同士で笑い話とも愚痴とも取れないような話をしますが、『相続税の申告で一生懸命、有利な規定の適用を考えて税額をゼロにしたら、クライアントから「税金よりも税理士報酬の方が高い」といわれた』なんてことがあります。
放っておいたら税金はゼロになりませんから。有利な規定には大抵、申告要件がついてるので申告書を作成しなければなりません。
テキトーに、何でもいいからとりあえず申告書を作って出しておけばいいって話ではありません。少し極端にいえば、申告書には自分の判断の根拠を示しておかなければなりません。
小規模宅地の特例(土地の評価額を5割から8割カットする納税者にとって非常に有利な規定)などは、相続税法をしっかりと勉強していなければ自信を持って判断は出来ないでしょう。
判断が間違っていれば、当然のことながらペナルティがあります。
申告書の提出には、そういった税務的なリスクなどを受け入れるって意味も込められているということを理解しなければいけませんね。