現物出資は難しい

会社を作る際には、会社の元手となる財産を拠出せねばならず、これを出資といいます。出資は金銭でするのが一般的ですが、モノで出資するのが現物出資です。

現物出資は手間がかかる

お金の価値は、例えば紙幣であれば金額が書いてあるので、すぐにわかるし誰がみても同じですが、モノの場合だとそうはいきません。

価値が不明瞭なモノを会社が受け入れるとなると、さまざまな不都合がありますので、その価値を見極める必要があります。

現物出資の場合、基本的には裁判所に認められた弁護士に価値を見極めてもらい、そのお墨付きを貰わないと、手続が進みません。もちろん、弁護士報酬も必要です。

さらに、現物出資する財産が不動産であれば、鑑定士にも鑑定をお願いすることになります。

現物出資するのはお金が無いからという理由が多いにもかかわらず、弁護士などの報酬がかさむというのは頭の痛いところです。また、これら価値を見極めるには時間も数ヶ月程度かかることも見逃せません。

出資者は譲渡所得税が課税される

現物出資すると、現物出資した人(財産を拠出した人)に対して譲渡所得税が課税されます。

これは、税金の考え方として、現物出資は一旦モノを売って、その売却代金を出資したものと考えるからです。

モノを売ると、売った利益に対してかかるのが譲渡所得税。

会社に財産を差し出しただけなのに課税されるというのは、専門家でないと釈然としないでしょうが、理屈は通っているので仕方ありません。

現物出資は資本金がコントロールできない

現物出資はモノを会社に出資します。お金を出資すると、そのお金は会社側では資本金になります。

モノでも理屈は同じですが、お金と違って、モノは量をコントロールできないので、資本金が大きくなり過ぎたりというリスクがあります。

税金の世界では、資本金=会社の図体の大きさ、と考えていて、図体が大きいとそれだけ社会の世話になってるからたくさん税を払えとなります。

資本金=図体が小さければ、弱っちいので国が色々と助けてくれるのと対照的です。

会社は作るだけでは意味がなく、維持・運営していかなければならず、資本金が大き過ぎて維持コストが余計にかかるというのはあまり利口ではないでしょう。

現物出資は難しい

以上のような理由から、現物出資はなかなかハードルが高いので、会社を作る際には金銭出資が一般的です。

相続対策などで、不動産オーナーなどが会社を作る際に現物出資の相談を受けることも、たまにありますが、最終的には金銭出資となることが多いです。

相続対策であれ、ふつうに事業をするのであれ、会社を作る際は、資本金となるお金が必要ということは変わらないのです。