財務諸表(決算書)は、1年度分だけを見るよりも複数の年度、少なくとも3年度分くらい見る方が、深い考察ができます。単年度ではわからないことも、変化を見ることで視野を広く見ることができるからです。
同じことで、3回くらい決算を見ると、税理士の「判断」の精度が上がり、味が出てきます。
初めての決算はとても大変
税理士にとって、どんな会社であれ、初めての決算をするのはそれなりに大変です。
決算は、すべての勘定科目をもれなくチェックして、不明事項は精査し明確にして、外部公表に堪えるよう、書類に取りまとめ、そのうえで税務的な問題が無いよう申告書に落とし込みます。
知らない場所へ行くときに、往路は手探りだから時間もかかるし気も遣うのに対し、復路は意外と早い、ということは経験則としてわかる話ですが、まさにそんな感じです。
決算書も3年分見るとよくわかるが
逆に決算書を見る立場からしても、1年分だけを見てもそこまで詳しい内容は見えてきません。
3年分くらい見ると、数値の変化などもわかるので、さらに深い考察が可能になります。
同様に、税理士も決算を2回、3回目とこなすにつれて、数値の変化も含めて追いかけることができるので、深い考察が可能になります。
知らない場所へ行くのに初めてのときは、手探りだったのが、何度か通うと、近道を見つけたり、危険なポイントを見つけたりと見える風景が変わるような感じといえばわかりやすいでしょうか。
会社の実態もわかる
決算では、会社の実態を決算書に反映させる必要がありますが、「実態」を把握するのには、それなりの時間やプロセスが必要です。
何度か決算を経れば、より実態が鮮明に把握できます。
やはり、1度よりは2度、3度決算を経ればそれは顕著です。
社長(会社)の考え方もわかる
中小企業における決算は、良くも悪くも社長の考え方(性格や経営方針なども)が反映されます。
ただ、そのまま反映させても有利になったり不利になったりもあるので、社長の意向などもよく汲み取って決算書を作成する必要があります。
人間の性格というのは、ある程度付き合いが続かないと分からないですから、何度か決算を経ないと、社長の性格とか考え方もわかりません。
担当替えの是非
税理士事務所では担当替えがあるところがあり、担当者の退職などでも、担当者が変わることがあります。
となると、担当者が3年目以降で味が出てくるから、あまり頻繁に担当が変わるのは、依頼者側からすると、チョットもったいない気もします。
相性の悪い担当者であれば、変わってもらえるというメリットもあるのでしょうが、担当が誰かわからないというデメリットもあり、やはり税理士事務所が提供するサービスの一定割合は属人的な色彩が濃いのだなと実感します。
外部ブレーンは長い付き合いが
税理士に期待することの最も大きなことは税務申告のサポートですが、それ以外にもアドバイスや情報の提供、税務や財務を中心とした経営相談なども含めて外部ブレーンの役割も期待されます。
すると、やはり内情をしっかりと把握している方がいいわけです。
3年目以降に味が出てくる、というのは当然でしょう。