決算のみ税理士に依頼の注意点

決算のみを税理士に依頼する場合というのは、どのような状態なのでしょうか?

決算のみとは

一般的に、法人(会社など)は年に一度、会計データを締め切って取りまとめをしなければなりません。
この取りまとめ作業を「決算」と呼んでいます。
また、会計データを取りまとめた後は、それらをもとに税金の申告書を作成します。
税理士業界では、申告書の作成のことを決算ということが多いです。

決算のみは「決算時のみ関与」

ところで、税理士・会計事務所に「決算のみ」を依頼する場合は、何を指しているのかというと、「決算時」のみ関与するということです。
会社の会計データは規模にもよりますが、1年間のデータともなると、それなりの量になります。
一度に全てを確認するのは大変だし、取引の詳細を会社に問い合わせるにしても、一年分まとめてとなると、記憶や精度も落ちてしまいがちです。
だから、税理士・会計事務所は一定の間隔ごとにクライアントと資料のやり取りをして、打合せを行います。
そうすることで、会社の状況も把握できるし、決算の負担も軽減できるし、その精度も向上するからです。

「決算のみ」は上級者向け

そこで、冒頭の「決算のみ」の話に戻ると、決算のみは、「決算時のみ」の関与となるため、(税理士側の)作業量が膨大になりがちです。
また、ネットで見かける「決算のみ10万円〜」というような値段の打ちだし方は、会計データの作成は含まれていません。

この場合、会計データは会社で作成してもらって(具体的には会計ソフトという専用ソフトで、データの打ち込みをしてもらいます)、そのデータを税金の申告書に落とし込む料金です。
データの作成も税理士にしてもらうとなると、作業量が膨大になりがちですから、10万円では足らず、比較的規模の小さな会社でも少なくどの30万円程度になりますから「30万円〜」という値段になるのですが、価格に競争力がないので、そういった見せ方はしません。

依頼者からするとリスクや手間はある程度自分で負うので安くなっているということですから、「上級者向け」ということでしょう。

安い価格はデータを自社で作る

「決算のみ」という税理士への依頼の仕方の場合、10万円前後の価格であれば、データ作成は含まれていませんから、会計データの取りまとめをしなければなりません。
また、データの作成の期限もあるので、遅れてしまうと、税金の申告期限に待ち合わなくなります。
価格が安くなる分、リスクは相当程度、負わなければなりません。

効果的なアドバイスは無し

「決算のみ」の場合、作成された会計データを申告書に落とし込むだけですから、効果的な節税や資金繰りなどのアドバイスは受けられません。
というか、データを落とし込むだけなので、節税策や資金繰りなどの検討をする余裕がありません。
経営においては、税金の申告をするのは大事ですが、これは当然の話であって、その結果を活かすことの方がより重要です。

しかし、「決算のみ」の場合には、予算的な兼ね合いで税理士もそこまで深く検討することはできませんので、税理士費用は安くなっても、税金や資金繰り面で大きな損をしていることもあるため注意が必要です。

アドバイスもありませんから、「決算のみ」の場合、深い相談には乗ってもらえません。
というのも、データを申告書に落とし込むので精一杯ですから、相談に乗れるくらい多面的に検討できないというのが実情です。
相談したいという意向がある場合には、別途依頼となり、別途料金となります。