売上がいくらたくさんあっても、お金がないと会社は潰れてしまいますので、どのくらいの日数で売上代金を回収しているか管理します。
売上=入金ではない
売上がたくさん上がっていても、集金できていなければ経費を払うことができません。
現金商売であれば、商品やサービスをお客さんに提供すると同時に入金されますが、製造業や小売業はすぐにお金をもらえないことも多いです。
お金がすぐに入るかどいうかは、会社の資金繰りに大きな影響を及ぼしますから、「しっかり回収できているか」「回収期間が延びていないか」など目を光らせておく必要があります。
売上債権回転期間
現金商売でなく、「ツケ」で商売をしている(月末で締めて翌月末に支払う…のような)取引を「掛取引」といい、ツケの代金のことを「売掛金」(払う側からすると「買掛金」)といいます。
売掛金ははやく回収できるに越したことはないのですが、業種によっては、回収に日数がかかることも。
回収までにかかる日数を求める方法が、「売上債権回転期間」ととばれる数値を管理することです。
求め方は…「売上債権(売掛金+受取手形)÷月商(年間売上÷12)」
※売掛債権とは、売掛金・受取手形のことです。
たとえば、売掛金600万円、年間の売上高が2,400万円だとすると、
600万÷(2,400÷12)=3ヶ月
と求められます。つまり、売上をあげてから、回収するまでに大体3ヶ月ほどかかっているということです。上記算式は年間売上を月数(12ヶ月)で割っていますが、日数に直せば日数ベースでの数値が求められます。
逆に考えると、月末には3ヶ月分の債権が残る
少し難しいのですが、売上を回収するまでに「3ヶ月」かかるとします。(上記の例)
すると、月末の段階では、3ヶ月分の未回収の代金が残っています。
売上が拡大している時期に、資金ショートを起こしやすくなるのは、このような理由からです。
売上債権回転期間をどう用いる?
売上をどのくらいの期間で回収しているかは、業種によっても異なります。
取引相手が一般消費者で現金商売が多い、飲食業や小売業はこの期間が短いといわれています。飲食業で10日以下、小売業で20日以下が平均といわれていますが、このような業種でもカード決済が増えれば、決済(カードの代金が入金されること)までの期間だけ日数は延びます。
製造業のように取引相手が企業で、掛取引だけでなく手形取引も行っていると、売上の回収期間が長期にわたります。平均で60日〜80日くらいといわれます。
ただ、業界の平均値と自社との比較は参考です。
中小中堅企業では、会社ごとに状況や事情が異なりますので、業界平均は実態からかけ離れていることもしばしばだからです。
延びていないか?
業界の平均値と比べるよりも、自社の過去(や未来)と比べるのが有効です。
過去の売上債権回転期間と、現在の売上債権回転期間を比較してみましょう。
短くなっていれば、会社として代金を早めに回収するための対策などが功を奏したのでしょう。
延びていれば、代金の回収が滞っているものがあるかも知れません。
代金の回収が滞っている取引先をどうするのか…、掛取引を打ち切るのか、どこまでを限度とするのか等、対策を考えなければなりません。
融資のときに
銀行からを金を借りる(融資)ときには、過去3期分くらいの決算書を求められます。
銀行が決算書を見たとき、不自然に売上債権回転期間が延びているとどうでしょう?
資金繰りの苦しい取引先が増えてきたのだろうか…
架空の売上をあげているのだろうか…
後者の場合、粉飾と疑われます。そんなことにもならないように、自社はどのくらいの期間で売上の代金を回収しているか、その期間が大きく変化していないかは定期的に確認するのが良いでしょう。