開業費は「開業」するまでの支出

開業費という科目は、開業するまでの支出を表す科目ですので、既に「開業」をしたあとにお店を移転したり、2号店をオープンした際には使いません。意外と混同してしまいがちですので、注意したいところです。

「開業」費とは

「事業」を始めたときを「開業」といいます。(何をもって事業を始めたのかはこれまた難しい問題ですが、一般的に考えましょう)開業する前でも、事前の準備とかで支出をすることは、当然のことながら、よくあります。

まさか、開業の日に事務所を借りる契約をして、設備を揃えて、アルバイトを募集して…などを同時にはできませんので。

普通に考えれば、オープンする前から準備をしていかなければ間に合わないのが道理です。

対応という考え方

この開業費は、会計的には面白い考え方をしていて、対応という考えがよくわかります。
事業は利益を得るためにやっていて、利益は収益から費用を差し引いたもの。

収益が、事業努力の成果すなわち売上で、費用がその収益(売上)を得るために犠牲になったもの。そして、この収益と費用は合理的に「対応」していなければなりません。(対応という考え方は初心者には難しいので、その収益を得るために費用が犠牲になっていることがある程度ひもついてるくらいでいいと思います…)

ところが、開業するまえは、収益(売上)がない。
でも、費用だけは発生する。

開業したあとは、収益と費用は対応するけれど、開業のまえは?
売上がないので、売上が出てくるまで開業費という科目で貯めておいて、売上が出てきてから開業費を対応させるわけです。

ちなみに開業費は、繰延資産というこれまた難しい分類になってしまいます。費用になのに資産とはこれいかに…という、経験者にはわかるけれど初心者にはハードルの高い内容です。やはり期間対応という考え方が重要になります。

「開業」したあとは「対応」するので

ここでの収益と費用の対応とは、なかなか難しく、どこまで厳密に考えるのかを突き詰めていくと、どんな理屈でも成り立ってしまいます。
そこで、個別で対応するもの除いては期間で対応させると考えます。

だから、お店を移転したとか、2号店をオープンしたとかの場合にも準備費用的なものはかかりますが、既に開業済みなので「開業費」とはなりません。

開業費は、将来的に利益が出るならば使い勝手の良い費用となりますので、キッチリと記録を残しておいて損しないようにしておきたいものですね。