住宅ローン破綻を避けるには「オーバーローン対策」が鉄則|戦略的住宅購入【基礎編④】

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「住宅ローン借り過ぎでないか?」「本当に返せるのだろうか?」
という悩みは、住宅ローンの設定に意図が込められていないこと・戦略の無さに起因します。

住宅ローン残高よりも物件価値が小さいと、物件を売却しても住宅ローンが残ってしまい、家計が破綻するリスクが大きくなります。

このような状態をオーバーローンといいますが、オーバーローンを避けさえすれば、かなりの確率で、住宅ローンの心配は杞憂となります。

ここでは、オーバーローンとならない住宅ローンの設計・戦略を解説します。

この記事は共働き夫婦の資産形成をテーマにしたシリーズの一部です。
全体像をおさえてから読み進めたい方はこちらの記事を先にどうぞ

共働き夫婦の老後資金準備は『住宅取得』が前提?|税務会計の視点でリスク最小化【全体編】
老後の生活基盤に不安を抱える共働き夫婦に向けて、住宅取得を資産形成の中心とし、リスクを最小化させる戦略の全体像を税理士が実務視点で解説します。

オーバーローンのリスク

物件の価値<ローン残高

住宅ローンに関するリスクを軽減するには、オーバーローンを避けることが必須です。

オーバーローンとは、物件(つまり住宅)の価値がローン残高を下回る状態のことです。

物件の価値が、ローン残高を下回ると、仮に物件を売ってもローンが残ってしまいます。

売却してもローンが残る

例えば、収入が激減したため自宅を手放さざるを得なくなったときに、オーバーローンだと自宅の売却代金をすべて住宅ローン返済に当てたとしても、まだ住宅ローンが残ってしまいます。

収入が激減したのに、住宅ローンが残るうえに、自宅はないですから、家賃も必要になる。なかなかハードモードですね。

建物は価値が減り、土地は価値が減らない!

物件の価値を測定するのは不可能

オーバーローンを避けるためには、物件の価値を測定し、それよりもローン残高を少なくすれば良いのですが、一般人(不動産関係者以外という意味です)には不動産の価値を把握するのは、かなり困難です。(というか、ほとんど不可能です)

そこで、建物と土地の価値の特性に注目します。建物は減価しますが、土地は減価しません。(土地が減価するならば、今頃地球はありませんので。)

会計的には建物は減価償却しますが、土地は価値が減らないため減価償却しません。

価値が減少する建物は頭金で

ですから、住宅取得に際して、頭金で建物部分を賄えば、理論上はオーバーローンにかなりなりにくい。

従って、住宅ローン戦略として当ブログが提唱するスタンスは、頭金で建物部分を賄う、です。

これにより、住宅ローンは返済した分だけ確実に減少しますが、土地の価値は減らないから、返済が進めば進むほど、オーバーローンにならないし、資産形成が進むという理屈です。

マンションはどうする?

マンションは土地比率が極めて小さい

マンションは土地持分が極めて小さいですから、オーバーローンを防ぐのに建物部分を頭金で補うというのは現実的でありません。

そこでマンションの場合は、比率で考えれば良いでしょう。筆者の計算では、戸建ての場合、建物と土地の比率は概ね1:2に近い割合になります。あくまで一般的な住宅ですので、「豪邸」だと違いますが、そこは深く考えなくて良いでしょう。

そして、マンションは土地持分が小さいですが、流動性が比較的高いため、新築から一定の年数までは価値の下落が緩やかです。

比率で管理する

結果として、戸建と同じように建物と土地を1:2だと擬制して、頭金は33%入れれば、オーバーローンにはなりづらいです。

つまり、戸建てでもマンションでも、概ね1/3程度の頭金を入れることが、オーバーローン対策しての条件です。

まとめ:住宅ローン戦略のキモはオーバーローン対策

住宅は資産形成の要ですが、その価値の把握が困難で、かつ借金をして購入するという、特殊な資産でもあります。

そのため、住宅の価値がローン残高を下回らないようにすることが、資産形成としても、リスクヘッジとしても必須です。

頭金を分厚く入れる、1/3以上。

これで、オーバーローンは回避できる可能性が高いですから、住宅取得を検討中のかたは、活用してください。

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