売掛金の回収、逆から見れば買掛金を支払う場合、たいていは銀行振込です。振込の際には、振込手数料が発生する場合がありますが、振込手数料はそもそもどちらが負担すべきものなのでしょうか?
一般的には受け取り側の負担
振込手数料を支払側、受取側のいずれが負担するかは法律上の取り決めはありません。
ですから、どちらが負担しても良いですし、支払側が負担する場合もあれば受取側が負担する場合もあります。
ただ、一般的な感覚として、あるいは慣習としては「受取側」が負担することが多いようです。
受取側が負担する根拠としては、請求をした受取側が代金を回収する義務があるので、受取側が負うべき「代金の回収にかかるコスト」(交通費・人件費etc)を節減できたから、ということです。
家賃などになると支払側が負担することも多いようですが、この辺りは、取引における当事者の力関係などでも変わるようです。
会社によっては、一定の金額以上であれば受取側が負担するが、金額が少額であれば、相手に負担して欲しい旨を請求書などに書いてあるところもあります。
税理士報酬は
税理士報酬は、顧問契約に基づいて毎月、銀行引き落としが一般的です。
銀行引き落としとなると、受取側が収納会社(引き落としを代行する会社)を利用して代金を回収していることとなり、振込手数料を負担していることと変わりません。
世の中の取引を最も多く見ている税理士の報酬が、受取側の負担なので、「振込手数料は受取側負担」という慣習が一般的だと思います(笑)
振込手数料の会計処理(売掛金)
振込手数料の会計処理は、いくつかの処理方法がありますが、一般的なものをご紹介します。
売掛金50,000円を振込料432円当社が負担して普通預金で回収した場合はこうなります。
(入金のタイミングで、売上を上げている会社は、売掛金でなく「売上高」ですが仕訳のかたちは同じです)
普通預金 49,568 / 売掛金 50,000
支払手数料 432 /
この場合、預金通帳には、49,568円が記載されるので、上記の仕訳のように修正しないと、売掛金と入金額の差額が溜まってしまいます。
先方(支払側)が負担してくれた場合には…
普通預金 50,000 / 売掛金 50,000
となるので、請求書の金額と入金額が一致しますから特に先ほどのような修正は不要です。
また、このパターンは売掛金だけでなく債権の回収全般にも応用できます。
振込手数料の会計処理(買掛金)
買掛金50,000円を振込料432円先方負担で、支払った場合はこうなります。
買掛金 50,000 / 普通預金 49,568
/ 支払手数料 432
振込手数料が貸方に出てくるので違和感もありますが、借方で同額が出ているはずなので、プラマイゼロです。
つまり、上記の仕訳のあとに
支払手数料 432 / 普通預金 432
という仕訳があるので、支払手数料が貸借同額になって消える→自社は負担していない(先方が負担した)ということです。
当社が負担の場合は、
買掛金 50,000 / 普通預金 50,000
支払手数料 432 / 普通預金 432
となり、とくに迷うことはありません。
余談
余談ですが、世の中には厚かましい人もますが…
請求を受けた代金を、勝手に分割にして払うような人がいます。
たとえば、500,000円の買掛金を、勝手に分割して払ってくる。100,000円×5回とかで払う。
さらにその都度、振込手数料を相手負担にする。
一回あたりの振込手数料が、500円ほどだとしても5倍になれば2,500円。
相手からすれば、非常に迷惑ですね…
やはり、代金の支払いや回収はルールに則って。一般的な慣習から離れる場合には、相手方と協議をしっかりしておかないと、今後掛取引を継続してもらえなくなるかも知れません。