年収が変わると、住民税や健康保険料、扶養判定、保育料、各種手当などに影響が出ることがあります。主な制度別にその影響と注意点を解説します。

所得税はどう変わる?計算の仕組みと控除の考え方
税の世界では、「儲け」のことを所得といいます。さらにどうやって儲けたかによって事業所得とか給与所得とか不動産所得などのように分類されます。
個人事業主の場合、事業から生み出した所得なので事業所得という扱いです。サラリーマンは給与所得ですね。
所得からは、一定の控除が差し引かれたのち、超過累進税率などの税率が適用され、税額が計算されるという仕組みです。
所得は給与所得者の一部を除いて、確定申告により自分で計算して納めます。(確定というのは租税債権(要するに税金)が確定するという意味です)
住民税・事業税への影響とは?タイミングにも注意
所得税は国に納める税金(国税)ですが、地方自治体に対して納めるのが住民税(地方税)です。基本的には所得税と同じような計算をしますが、税額控除や税率などが異なります。
住民税は、所得税と同じく基本的には「所得」をベースに税金を計算していますが、支払う時期が異なります。(所得税は前払い、住民税は後払いのイメージです)また、個人事業主の場合には「事業所得」の金額によって「事業税」にも影響を及ぼします。
所得は、住民税以外にもさまざまに影響します。
というのも、日本の行政運営の考え方として「所得の少ない人に手厚い保護」をしてあげようという考え方があるからです。(これには賛否がありますが)
住民税非課税世帯(住民税がかからないほど所得が少ない世帯)が手厚く保護されているのも、そうした考え方からです。
社会保険・手当・保育料はどう変わる?制度別に解説
日本の行政の難しいところは、所得が税以外の「公共サービスなど」にも影響する点です。
個人的には、所得によって区別するのはどうなのかと思わなくもないのですが、それに代替する方法が見当たらない以上、ある程度は仕方ないのかもしれません。
国民健康保険料
所得に応じて、国民健康保険料が変動します。しかも、大抵は所得税などよりも遙かに負担が大きいです。金額の多寡の是非は置いておいて、所得により国民健康保険料が変動するというのは、生活に直結するだけに重要です。
社会保険料
社会保険料は、健康保険ほどではありませんが、所得に一定程度連動します。
正確には、社会保険を計算するための給与(標準報酬月額)に連動して増減します。国民健康保険と違って、給料から天引になることがほとんどのため、コントロールは効きにくいですが、会社経営者などの場合、敢えてコントロールするように努めないと、大きな負担となります。
手当や助成など
そのほかにも、障害手当など行政からの手当には、所得制限の付されているものもありますから、所得計算を間違えていたりすると、返還をしなければならない可能性も。
保育園の保育料、高校などの授業料の補助なども、所得に依存します。自治体などによっても違いがありますので、折に触れて調べることが重要です。
個人事業主・経営者ができる税負担の調整とは?
個人事業主や経営者は、自身の所得を計算して申告しますし、会社経営においても同じことです。
ただし、個人事業主であれば、上記に加えて消費税などの納税も必要になりますし、会社経営社の場合には、個人の所得税を減らすと会社の法人税等が増えることがあります。
単独の税金だけを見ていると、トータルで見たときに税負担や社会保険料の負担などが大きくなるということもあるので、キチンとした税理士に相談して、最適な税負担を考えることが重要です。