相続税申告は自分で出来るのか?について考えてみたいと思います。
自分で出来ないことは無い
極論から言えば自分で相続税の申告書を作ることは可能です。
ただし、相当な手間がかかり大きなリスクを負うことになるという条件付きですが。
自分で申告書を作るのに、税務署に聞きにいったり税理士会などの無料相談を活用することになりますが、当然のことながら疎ましがられることもあるし何度も何度も足を運ぶことになりるうえ、優先的に対応してくれるとは限りません。
(もちろん親切な人もいますが、税務署の方達も自分の仕事を抱えているわけで、申告書は本来自分で作らなければいけないわけだから、相談に来た人ばかりを対応できるわけでないのは仕方が無いことです。)
また、相続税に関する勉強も多少はしなければならないです。知識の無い人が申告書を作成するのはまず無理なので、自分で申告しようと思えば書籍などを購入して勉強することになります。
(ネットで調べることも有力ですが、ネットの情報は真偽が不明なものもありますので、鵜呑みにして後で痛い目を見ることもありますから注意したいところです)
ちなみに税理士試験の相続税法は合格までに最低450時間の勉強が必要と言われています。(実際はこの数倍の勉強しても不合格の人が多くいる厳しい税法です)
また、相続税の申告をするためには相続税法だけでなく所得税法や税金以外の相続に関する知識を必要とすることになりますので広い範囲の知識は必要です。
そういった面での面倒くささを許容することができたうえで、申告ミスや付帯税に関するリスクを許容できるのであれば自分で作っても良いかもしれません。
申告ミスの場合のリスク
申告をミスすると(支払う税金が少ないと)、追加で税金を納めなければなりません。(もちろん、税理士に依頼した場合でもこのリスクは生じます。しかし、依頼した方がリスクは減ります)
追加で税金を支払う上に、罰金もかかります。
この罰金は、ベースとなる税金の額が大きくなればなるほど罰金の額も大きくなります。
相続税は税金の額が大きくなる傾向にあるので(すぐに数十万円、数百万円変わります)、罰金のリスクは考慮しなければならないでしょう。
税務調査時のリスク
税務調査についてのリスクも考慮しなければなりません。
相続税などの自分で申告をする税金は、計算の根拠が曖昧な場合や計算ミスが疑われる場合があります。これをそのまま放置していると、課税の公平がはかれなくなってしまいます。
そこで、税務署が申告書を見て疑問点があった場合等には「税務調査」という申告内容の確認に来ます。税務調査では、単に計算の根拠や計算ミスの確認だけでなく、「税務的な解釈」まで突っ込んだ話になります。
相続税申告のうち全体の約3割ほどには税務調査がくると言われています。(また、遺産総額が多くなればなるほど調査にくる確率は上がるようです)
税金の計算以前に、税務的な解釈などの面で間違いがあれば正されることになるのですが、その場合には追加で税金や罰金が生じます。
税理士に依頼している場合は、税理士が調査に立ち会って税務署側にキッチリとした反論をしてくれますが、自分で申告している場合には自分で抗弁しなければなりません。この心理的プレッシャーは相当なものです。
調査対策としては、税務的な解釈面も考慮して申告をすることにつきます。
結論として、相続税申告は自分でも出来ないことは無いけれど、手間とリスクは考慮に入れなければならないということです。できるだけ、相続に詳しい税理士に依頼した方が良いでしょうね。