簿記を勉強すると「相手」の気持ちがわかる

簿記のシステムはよくできていて、勉強すると相手の気持ちがわかるようになります。

簿記は記録集計のシステムだけでなく

簿記というのは、帳簿記録の略で、日々の取引データを集計するためのシステムだというのは一般に知られたとおりです。
ただ、簿記をプロレベルまで、日商1級くらいのレベルまで突き詰めて勉強すると、自社の取引だけで無く、相手方の考えもなんとなく見えてきたりします。

複式簿記は常に裏がある

現在の簿記のシステムは、複式簿記と呼ばれるシステムです。
複式というのは、常に表裏一体で取引が行われるということを表しています。
例えば、経費となる支出をすれば経費が発生すると同時に、お金が減る。
例えば、売上があがれば、同時に売掛金という債権が発生する、というような。
簿記では、こういった表と裏の動きを仕訳という基礎データにして、それを集計していきますが、常に表と裏の動きを同時に捕まえるということは、その考え方に慣れてくると、思考を「裏返す」ことができるようになるのです。

さらにひっくり返すと相手の取引もわかる

複式簿記では、取引は常に表と裏を同時に捕まえるという考え方をしますが、これを発展させると、「裏返し」て、取引相手の仕訳もわかるのです。
つまり、当社が経費を払えば、その取引の相手方では、売上になっているわけです。
当社の出入り業者は、当社からすれば経費を払う相手ですが、相手からすれば、うちはお客さんで、貰ったお金は売上です。

お金を貸したら貸付金で、相手から見れば借入金。利息を受け取れば受取利息で、相手から見れば支払利息。というような基本的なことから、考え方さえしっかりしていれば複合仕訳であれ、相手から見た場合の取引も考えられます。

当社の取引をひっくり返せば、相手の取引データと一緒になるはずです。

簿記を勉強すると相手の気持ちが分かる

つまり、簿記を「しっかりと」勉強すれば、当社の取引を正確に捕まえることができ、ひいては裏返して相手の仕訳もわかるのです。
経済活動においては、その会社や取引をした人の気持ちはお金の動きに表れることが多く、お金の動きである取引を正確に補足することは、相手の気持ちを理解することに繋がるのです。
実際に、プロである税理士でも、複雑な取引に遭遇したときには、「相手先の仕訳はどうなんだろう?」と考えて、理屈を成り立たせることがあります。

数字の羅列としてしか簿記を考えていなければ出来ない芸当ですが、実際には簿記は血の通った取引を集計したものですから、「気持ち」が通っているのです。