雑費のナゾ〜「雑」はなるべく使わない

勘定科目のなかでももっともわかりづらいのが雑費ですが、そもそも使わないに越したこととはありません。

雑費とは

雑費とは他の勘定科目で処理するのが適当でないものを処理する勘定科目なのですが、それだけだとイメージが全くつきません。
雑費を使う科目は特にこれといつまで決まってはいませんが、しばしば使われる項目としては
・事務所などに飾る花代
・塵芥処理などにかかる費用
・カードの年会費etc
などがあります。

他にも会社によってあるようですが、そもそも雑費を多用するのは好ましくないので、使わないというところもあります。

税や会計の世界ではよくある考え方ですが、雑費以外のものは積極的に定義が決められていて、雑費はそれ以外という決め方をします。
所得税である雑所得などはまさにその考え方ですが、その他が必要以上に増えるともはや「その他」ではなくなってしまい、適正な科目に振り替えるか、新たに適切な科目を設定する必要があります。
そういった観点から、雑費が多用されるというのは望ましくなく、具体例が乏しいのもそうした理由からです。

分析の観点からも好ましくない

雑費は、分析の観点からも好ましくありません。
財務諸表を分析するもっとも重要な見方は、比較することです。数字を年度単位などで比較していくと、増減が傾向として見えてきます。
そこから理由を確認していくのですが、雑費の場合だと増減しても理由の確認のしようがありません。

他の科目以外のもの(雑費)が増えた・減ったといっても、何らの役に立つことは分かりません。
つまり雑費が多い決算書や財務諸表は、きちんと作られていない(分析に役立たない)ということも言えるわけです。

きちんと作られていないということは

財務諸表というものは、期中に行われた取引が散らかった状態になっているものを、所定の場所(分類や科目)に収めて誰の目にもわかりやすく整頓する書類です。
雑費が多いのは、その整頓をしないで隅に集めてあるだけの状態ですから、税務調査でもリスクが高いと言えます。
雑費があること自体が悪いことではありませんが、あまりに雑費が多用されていたり、内容が不明だと一事が万事で、他もキチンとされていないと考えるのが道理です。

結局のところ、会計や税務というのはいかに整然とした状態を作れるかですから、「雑」と名のつくものの多用や詳細が不明だと雑然とした状況ということになり、目的を果たせていないと考えられます。
「雑」がつく科目は他にも雑収入や雑損失などもありますが、これらを使うときも詳細をきちんと判明させる、多用しないということは肝に銘じておくべきでしょう。