レジで受け取った1枚の領収書に、食材(仕入)と洗剤(消耗品費)のような異なる性質の経費が混在していた——。このような場面、実務では意外と多く発生します。
本記事では、複数の経費が含まれた領収書をどう処理するのが適切か、仕訳の考え方と入力方法をわかりやすく解説します。経理担当者の負担軽減にもつながる、実践的な工夫についても紹介しています。

領収書に複数の経費がある場合の考え方
仕入と消耗品費のように、1つの領収書に複数の経費がある場合にはそれぞれの経費ごとに分類しなければなりません。
経費ごとに分けるということは、経理処理がそれだけ面倒くさいということになります。
この場合、経理処理(会計ソフトへの入力)については、①複合仕訳として処理する②取引を分解して処理する、の2択となります。
複合仕訳で処理する(例あり)
※例として、仕入400円、消耗品費200円とします。
仕入 400/現金 600
消耗品費 200 /
のような形で振替伝票入力するということです。
取引を分解して処理する(例あり)
仕入 400/現金 400
消耗品費 200/現金 200
と処理します。これなら現金出納帳からだけで入力が可能です。(給料の支払いなどのように分解できない取引もあるので注意が必要です)
領収書を分けてもらうと楽になる
経理上のメリットと、現実的なハードル
経理処理を考慮して、複数の領収書を貰えば、(この場合だと仕入と消耗品の領収書を貰うわけですが)難しい複合仕訳を考えなくても処理することが可能となります。
が、スーパーのレジなどで「領収書を分けてくれ」と言っても難しいでしょうし、手間がかかって仕方ありません。
購入先や経費を店ごとに決めるという工夫
自分たちでルール化する実務対応
領収書を分けてもらうのが現実的でないとすると、購入先ごとに取引を決めてしまうのがいいかもしれません。
このスーパーでは、食材しか買わない。従って、このスーパーの領収書は基本的にすべて仕入である。となれば、会計処理をする立場からしたらスムーズに処理ができますし、間違いも減るでしょう。
一方で、買い忘れるなどのデメリットもありますが。
現場で発生する手間を理解して対策する
経理担当者や購買担当者の負担軽減策
結局のところ、複数の取引を同時に行えば、どこかで手間がかかります。レジを通るときなのか、経理担当者が処理をするときなのか…
個人的な見解としては、経理担当者は経理業務だけを行っている会社は少なく、総務業務やそれ以外の業務も兼ねていることが多いです。じつはメチャメチャ忙しいことが多いのですが、そのあたりを他の人はイマイチわかっていないことが多く、苦労されています。
ですから、購買する人間が気を利かせて、ある程度、仕入だったら仕入だけ、みたいな形で取引ごとに店を変えたり、領収書を分けてあげるほうが、優しいのかなと思います。