教育費準備は預貯金だけで大丈夫?|家計が崩れにくい備え方

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教育費の準備は、多くの家庭で預貯金が中心です。
ただ、預貯金だけで本当に足りるのか、不安を感じる人も多いのではないでしょうか。

教育費は長期間にわたって家計に負担をかけるうえ、預金はインフレに弱いため、それだけに依存すると家計が苦しくなりやすくなります。

本記事では、教育費を預貯金だけで準備する弱点を整理しながら、家計が崩れにくい備え方を考えます。

教育費を「預金だけ」で考えると家計が苦しくなりやすい理由

教育費は、一定の期間にわたって家計に大きな負担をかける支出です。
ある調査では、在学費用は世帯年収の平均15%ほどを占め、20%以上になる世帯もあります。

教育費の準備は、値動きのある投資だけで賄うのは不安を感じやすいため、実際には毎月の収入で足りない分を預貯金で補う形が一般的です。

ただ、預金は元本が減りにくい一方で、物価上昇には弱く、長期で見ると実質的な価値が目減りしやすいという弱点があります。
教育費を預金だけに頼ると、この弱さをそのまま抱えることになります。

もちろん、教育費をフロー収入と預貯金で準備すること自体は一般的です。 ただ、それだけに依存すると、教育費が重なる時期に生活費や他の将来資金まで圧迫しやすくなります。

だからこそ、教育費はフロー・預貯金で備えつつ、それ以外の収入源やお金の置き場所も分散して、教育費が重なる時期でも家計が崩れにくい形にしておくことが重要です。

預金はインフレで教育費の価値が目減りする

物価が上昇すると、お金の「価値」は確実に減っていきます。インフレ率を年2%と仮定すると、100万円の「価値」は

10年後:約82万円
15年後:約74万円
20年後:約67万円

まで目減りします。

つまり、現金や預金に置いておくだけでは目減りしてしまうのです。
かつては賃金上昇や高金利の預金、為替の影響でインフレ圧力を緩和できていましたが、現在はそうはいきません。

長期的に必要なお金ほど、インフレに強い資産に置き換えることが不可欠です。

教育費はいくら必要?公立と私立・中学受験の費用簡易比較

教育費は子どもの進路によって大きく変わります。文部科学省などの調査によると、大学までにかかる教育費の総額はおよそ800万〜1,500万円とされています。

※すべて公立なら約800万円、中学受験をして私立に進学すれば約1,500万円に達することもあります。

一度に全額が必要になるわけではありませんので、子どもが1人であれば、共働き夫婦なら給与や賞与のやりくりで対応できる家庭もあるでしょう。

しかし、子どもが2人以上の場合や留学などを選ぶ場合には、一気に負担が重くなり、準備なしでは厳しい金額です。

さらに、貯金だけで準備しようとすると、インフレで教育費の実質価値が目減りしてしまいますから、他の方法(株式投資など)が必要です。

副業で教育費を貯めるデメリット|税金・健康保険・時間負担

観点デメリット
税金雑所得として総合課税。所得税・住民税が増える
社会保険等国民健康保険料が上がる場合がある
制度高校授業料無償化など住民税ベースの制度で不利になる可能性
手間確定申告が必要。忘れるとペナルティ
時間収入は不安定で、事務処理や管理に手間がかかる

副業で教育費を準備しようとすると、表にある通り 税金・社会保険・制度・手間・時間の全てで不利 になる可能性があります。
とくに、所得税や住民税が増えることに加え、確定申告や事務処理の手間がかかり、収益自体も安定しにくい点が大きなデメリットです。

このため、教育費準備の手段としては、副業よりも株式投資の方が合理的といえます。

株式投資のメリット|インフレに強く教育費準備に有利

観点メリット
インフレ耐性株価は物価とある程度連動し、預金のように実質価値が目減りしにくい
配当収入家計補填や再投資に使え、資産形成のスピードを高められる
リスク平準化長期保有で短期の値動きが平準化され、安定的に備えやすい
流動性必要になればすぐ換金でき、教育費など急な支出にも対応可能

株式投資には上記のような特徴があり、インフレに強く長期の教育費準備に適しています。

短期的な値動きはあるものの、長期で見ればリスクは平準化されやすく、必要に応じて換金できる流動性も備えています。

株式投資には上記のような特徴があり、インフレに強く長期の教育費準備に適しています。

※ただし「どの程度を投資に回すべきか」「住宅・老後資金とどうバランスを取るか」は別の話です

株式投資の税制メリット|副業との大きな違い

観点メリット
申告手続特定口座で「源泉徴収あり」を選択すれば、売買益や配当にかかる税金は自動で差し引かれ、確定申告不要
所得判定「申告不要」とすれば課税が完結しているため、保育料や高校授業料無償化などの所得判定に影響しない
課税タイミング売却して初めて課税対象。含み益の段階では課税なし
柔軟性必要になるまで資産を「寝かせて」教育費に充てられる

株式投資は、特定口座で「源泉徴収あり・申告不要」を選択すれば、売買益や配当にかかる税金は自動で差し引かれ、確定申告は不要です。
この「申告不要」扱いにした配当は、すでに課税が完結しているため、保育料や高校授業料無償化などの所得判定に影響しません。

また、売却益は売却時に初めて課税対象となり、含み益の段階では課税されないため、教育費として必要になるまで資産を「寝かせる」ことが可能です。

なお、NISAは非課税枠がある一方で損失の通算ができないため、教育費目的での利用には不向きです。教育費準備を考えるなら、まずは特定口座を利用するのが基本です。

シミュレーション|預金と株式投資で10年後の資産を比較

ここでは、教育費や老後資金を「預金で準備する場合」と「株式投資で準備する場合」を比較します。前提条件は以下のとおりです。

項目内容
積立金額毎年(年初)100万円を10年間積立
物価上昇率年2%
※預金はインフレ率による修正を行い
 株式投資はインフレ率による修正を行わない
預金利率年0.18%(税引前)、利子に20.315%課税
株式投資配当利回り5%、税引後3.98%を再投資
税率利息・配当とも20.315%(所得税+住民税)

預金の場合

10年後の実質価値は 約9,051,634円 となり、積み立てた1,000万円よりも目減りしてしまいます。

株式投資の場合

結果、10年後の資産は 12,475,346円 まで増加します。

同じ100万円を毎年積み立てても、10年後には 約340万円以上の差 が生まれることになります。

共働き夫婦にとっての合理的な教育費準備の選択肢とは

教育費の準備を預金だけに頼るのは、インフレで価値が目減りするリスクが大きく、時代に合いません。
一方、株式投資は税制面・時間面・柔軟性のすべてで副業よりも有利です。

これからの教育費準備は、 「預金+株式投資」へ発想をアップデートすることが、共働き夫婦にとって最も合理的な選択肢 となります。

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税理士・佐野匡司
大阪の小さな事務所を運営する現役税理士。
官報合格(試験合格)+実務経験15年以上。
中小企業オーナーや資産形成を志す個人(特に共働き夫婦・パワーカップル)に向けて、
「リスクを抑えたお金の戦略」を発信中。

保険・投資・不動産などの販売とは無縁の独立系の立場から、
中立的で実務に根ざした情報をお届けします。

このブログの最終目標は書籍化。
現場で得た知見をもとに、資産形成とリスク管理の両立を目指します。

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