会社つまり法人は年に一度、会計データの取りまとめを行い、これに基づいて税の申告をしなければなりません。
この申告は通常、決算日(会計データの締切日)から2ヶ月以内です。
罰金がかかる
期限を過ぎても申告をすることは可能ですが、罰金が発生します。(他の会社は期日までに申告しているわけですから、これは当然でしょう)
期限を過ぎた日に応じて罰金が発生しますから、なるべく早めに払うにこしたことはありません。
更に悪質な場合には、例えば申告する気がなかったというような場合、罰金が重くなる(重加算税)というペナルティもあります。
実質的に税金に時効なし
一般的に借金などは、何事もなく一定の期間が経過すると「時効」といって借金がチャラになるという制度がありますが、税金の場合それがありません。
少々ややこしいので、少し乱暴にまとめると、時効が成立するためには、相手から督促などがなく平穏無事に一定期間が経過しないといけないのですが、税金の場合は税務署が「税を払ってください」と催促してきます。(そのための税務署ですので)
ですから、時効が成立しづらいのです。いつまでも税金がついてまわります。
青色申告取消し
税の世界では、会社自身で自社の「成績表」(いわゆる決算書です)をつくり、その成績に基づいて税金を納めるという仕組みです。
その「成績表」の精度がある程度は担保されていないと、税金がブレてしまうし、不公平が生じてしまいます。
そこで、一定の証拠資料をキチンと残して精度高く「成績表」を作っていれば、手間に見合った「ご褒美」もらえる制度、これを「青色申告」と呼んでいます。
このご褒美は、赤字が繰越せたり、減価償却などで有利になったりなどがあります。
期限後申告が2期続くと
ところが期限内でなく期限を過ぎて申告をする、期限後申告が2期続くと青色申告が取消される場合があります。
取消されると、今まで受けていたご褒美が無くなりますから、税金的には不利になります。
経営と税金は切っても切れないですから、税金でそのような制限を受けるということは、会社経営も制約を受けてしまいます。すなわち(高い)税金に苦しむということです。
推計課税
また、青色申告はキチンとしているからそれに敬意を表しているので、青色申告を取り消されると「推計課税」というデメリットもあります。
ザックリといえば、申告などをしないときに税務署側が推計で税金を決めてくるということです。
青色申告であればキチンとデータなどの根拠があるのでそのようなことは出来ないのですが、青色申告でないということは反論できる「根拠」がありませんから、なかなか苦しいわけです。
信用面でのデメリットも
期限内申告をしないと、そのほかにも付随的にデメリットが生じます。
・税理士
依頼している税理士に資料などを渡すのが遅れると、申告期限に間に合わないということはあります。
税理士は、他にもクライアントを抱えていますから、当社の申告が遅れたとしても、最優先で対応してくれるとは限りません。
他のクライアントの申告があれば、場合によっては「やむを得ず」後回しとなることもあるでしょう。
自社の資料提出が遅れたわけですから、税理士に早くやってくれというのは矛盾した話です。
仮にその税理士を解約したとして、他の税理士に依頼をしようとしても、期限後申告が続いているのであれば、一定の確率で断られることは覚悟しなければなりません。
税理士にとって「良いお客さん」ではないということは誰の目にも明らかです。
こうして、いわゆる税理士難民になり、税務署の調査などがくるとコテンパンにやられるなんてことも…
・融資
融資を受ける際に、無申告(申告をしないこと)であれば、まず融資は受けられません。
自社の成績表を自社で作るわけですが、税務署に申告していなければ、信用度は全くありませんので。
自社が作った成績表も、税務署に申告したということで一定の信用を担保するわけです。
また、期限後申告でも印象は良くありません。期限までに申告するというのは、会社と「税務署」の約束ではなく、会社と「社会」の約束なわけです。
約束を守らないと社会の構成員とは認められないでしょう。
端的にいえば、約束を守れない人がお金を返せるわけがないし、申告書も信じられない。そんな人や会社にお金は貸せない、ということでしょう。
・取引先
取引先などから決算書を求められることもあり、その際に期限後申告であれば「そういった会社」だと見られます。
「決算書の期日も守れない会社が取引の条件を守れるのだろうか?」という疑問が湧いてくるのは無理からぬことで、この疑念の晴らすのは並大抵の努力では無理でしょう。
以上のように、会社が動いていない場合は別として、期限内申告しないメリットはなくデメリットは沢山あります。
しかも、デメリットは取り返しがつかないものもあり、ルールや期限を守ることが会社の責務であるということでしょう。