
「扶養内パートで節税しているから、我が家は安泰」
そう思っていませんか?
しかし現実には、収入を抑えて得られる節税メリットよりも、“稼がないこと”による将来不安や資産形成の遠回りのほうが、はるかに深刻なリスクです。
本記事では、資産形成において「稼ぐ力」がなぜ本質的に重要なのか、そして扶養内や専業主婦という選択がいかに資産形成から遠ざかるのかを、税制・年金・リスク耐性など多角的に解説します。
資産形成の必要性
先行きの不透明な経済状況下で、ご自身とそのご家族の生活の基盤を守っていくためには、フロー(月々の収入)だけに依存することはリスクが高すぎます。
フローだけでなくストック(資産など)を戦略的に構築していくことで、インフレなどの経済状況や教育費・老後資金などのライブイベントにも柔軟な対応が可能となります。
もしもの備えが貯金しかない、という状況と貯金、有価証券(株式や債券)、不動産、年金資産などバランスよくあるのでは、どちらか良いか明らかです。
資産形成には「稼ぐ力」が必要
資産形成の原資はさまざまですが、最もオーソドックスなのは「稼いだお金」ということになります。
より正確にいえば、資産形成の原資は「可処分所得」から生じます。
月に1万円積み立てるのと、月5万円積み立てるのでは、スピード感が全く異なりますから、「稼ぐ力」が大きければ大きいほど有利です。
節約して資産形成するというのは、かなり無理がありますが、稼ぐ力を伸ばせば、資産形成は進みます。
扶養内パート・専業主婦という選択の問題点

年金が不利(将来の生活防衛力が低下)
専業主婦の年金(第3号被保険者)は最低限の年金ですので、生活を考えると自身で上乗せをする必要があります。
また、配偶者の死亡後に遺族年金を受けれる場合でも、満額ではなく一定割合となっています。
近年、専業主婦の年金には改正論が燻っていますから、制度が変わるというリスクもあります。
税金よりも大事なのは「キャッシュフロー」

「103万の壁」や「130万の壁」(住民税や社会保険料がかからない分岐点となる金額のこと)に縛られて働かないのは、一見すると大きな経済メリットを得ているように感じますが、将来不安を増大させているだけともいえます。
確かに住民税や社会保険料の負担は小さくはありませんが、収入を超えて課税されるわけではありませんので、より大きく稼ぐ方が家計全体のリスクヘッジとなります。
※壁の分岐点前後の収入では、働き損になるというロジックがありますが、分岐点前後でなくそれを大きく上回る収入を得るほうが、結果的に家計は安定するという主張ですので誤解なきようにお願いいたします。
家計のリスク耐性がなくなる
片働き過程は共働き家庭よりも、メインとなる収入の稼得者(大抵は夫でしょうが)が、倒れると、たちまち家計が立ち行かなくなります。
筆者は中小企業(特に小さなビジネス)の支援を本業としていますが、企業経営のセオリーとして「売上先は分散させる」というものがあります。
売上が一社に依存していると、その会社が不振になると、連鎖して倒産するリスクがかなり高いからです。
小さな経営主体は、売上を分散させるのが鉄則なのに、世の中で最も小さな経済主体である家計が、方働きというのは、個人的にはかなりリスクが高いと思います。
現行税制は「徹底的に走る」ほうが有利
現行の税制は、「徹底的に走る」ことを推奨する制度設計になっています。
先に述べたような「壁」を意識した働き方は、いわば「中途半端に走る」やり方ですが、中途半端な走り方は、一見すると徴収される税なども少なく合理的に見えますが、まったく「距離」を稼げていないので、「家計破綻リスク」や「将来不安」に追いつかれやすい。
(すでに捕まっている人もいます、一旦それらに捕まるとなかなか抜け出せないのは経験則としてもわかるかと思います)
徹底的に走ると、破綻リスクに追いつかれる可能性はかなり減りますし、iDeCo・ふるさと納税・その他の所得控除などは一定の所得があることを前提としていますから、徹底的に走ると、税制がそれをさらに後押ししてくれるわけです。
まとめ:資産形成は“走る者”の味方をする
資産形成の原動力、つまり原資は、「稼ぐ力」ですから、これを鍛えるべきです。
「扶養の壁」を意識しすぎると、徹底的に走れず、結果的に家計破綻リスクや将来不安に捕まってしまいます。
「働かず家庭を守る」は実は、少しばかりの税金は回避できても、家計全体のリスクは回避できないのです。
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