税理士に依頼するクライアントは、「自社の業界に精通した税理士を希望する」こともあるようですが、個人的にはそこはあまり重要ではないと思います。
なぜ精通していると良いのか?
なぜ「自社の業界に精通していると良い」と考えるのでしょうか。
おそらく、会社にとって有益な情報をもたらしてくれたりとかを考えてのことでしょう。
しかしながら、税理士がその業界にいくら精通していようと、クライアントの方がもっと精通しているはずですし、そうでないとおかしいでしょう。
税理士は「税務」の専門家であって、自身が知らない業界のことを、税理士が知っているというのもおかしな話です。
コニュニケーションが取れている方が大事
自社の業界の内情に詳しかろうと、その税理士が経営するわけでもありませんし、近年特に感じることとして、儲かっている業界だからといってすべての会社が儲かっているわけではないということです。
結局のところ、会社にはそれぞれの特徴がありますから、どんな業界かに精通しているよりは「自社」のことをよく知ってくれていなければ意味がないのです。
その業界特有の取引事情などは、クライアントと税理士がしっかりとコミュニケーションが取れていれば、税理士もプロですのでわかる話です。
業種特化するデメリットが大きい
税理士側の観点から考えると、業種特化することによるメリットはマーティングしやすいというのはあるかもしれませんが、デメリットはその業界が不調になるとモロに影響を受けることです。
製造業などは大量生産するとコストが下がったりというメリットが大きいですが、税理士は基本的にクライアント一件一件にオーダーメイドのサービスを提供する(少なくともわたしはそう思ってますが)ものですから、業種特化しても業務効率とかは(大きくは)変わりません。
大きく業務効率が変わるのであれば、オーダーメイドのサービスではありません。
であれば、リスク分散のためにもクライアントの業種はバラけている方がメリットは大きいです。(リスク分散以外にも、クライアントの業種がバラけていると景気の動向などにより敏感になるなど、広く情報を集めることが可能です)
学びの姿勢を持った人だったらいいのでは
その業界特有の事情など(特に中小企業の場合には、業界事情よりも会社個々の事情の方が千差万別です)は、税理士よりもクライアントの方が知っているので、コミュニケーションをしっかりとることが最も重要と考えます。
税理士はあくまで「税務」のプロであって、その業界の細かな事情は知らなくても問題ありません。
ただ、関与してからしっかりと調べていけばいいわけですから。
個人的には変に知ったかぶりして、クライアントに迷惑をかけるより、教えていただいて、そういった情報をしっかりと共有さえできれば、税務のリスクも減らせますし、良いのではないかと。