決算を黒字にするか赤字にするかは、単なる節税の話ではありません。
税金の金額だけでなく、融資の受けやすさ、資金繰り、翌期以降の事業展開にも直結する重要な経営判断です。
実際、中小企業では決算の着地点をある程度コントロールできる場面があります。
しかし、そこで大切なのは「黒字が正しい」「赤字が得」と決めつけることではなく、何を優先するかを整理することです。
一般的には、優先順位は
①融資 ②資金繰り ③節税
となります。
そのため、黒字か赤字かは税金だけで決めるものではなく、融資の必要性、手元資金の厚み、翌期以降の利益見通しを踏まえて判断する必要があります。

決算はコントロールできる?その意味と注意点
決算の数値はある程度であれば(合法的に)会社がコントロールできます。
決算の2.3ヶ月前になれば、決算の予測が出来ますから、そこから売上や経費をコントロールすることができれば着地点も、「ある程度は」コントロール可能です。
もちろん、どんぶり勘定でやっていたり普段の経理が杜撰だったりすると予測精度は落ちたり、そもそも予測できません。
黒字決算のメリット|税金・融資への好影響
税金や資金繰りに制約がなければ、黒字決算の方が良いです。
ただし、黒字決算だと「税金」の問題がついて回ります。会社が払う税金は、その大半が利益に対してかかってきます(主なものは法人税)ので、利益が大きくなればなるほど、基本的には支払う税金も大きくなります。(納税資金を考えた経営が必要になります)
黒字決算にして、税金をしっかり払うことは、融資の観点からは評価が高くなります。
金融機関は貸したお金を、「利益」から回収するという考え方で融資の判断をしますから、利益が出ていない会社は融資を受けるのが厳しくなります。
利益だけで融資が決まるわけではありませんが、赤字が数期間続いていると融資は厳しいですから、黒字決算は重要です。(一般的には3期連続赤字はまずい※とされています)
※金融機関が嫌がりますし、債務超過の懸念が上がるため企業の継続性にも疑問が生じます。大手企業などは取引に際して決算書を要求されますが、決算書を見て「取引はなかったことに」となってしまいかねません。
赤字決算のメリット|節税・繰越控除の活用
赤字決算は利益がありませんので、利益に課税される税金はほとんど払わなくて済みます。(消費税は利益にかかっているわけではないので支払わなければならない場合が多いですが)
また、法人税では赤字を一定期間繰り越すことが可能です。
例えば、今年の決算で500万円ほど赤字を出したとしても、その赤字を翌年に繰り越せるので、翌年は500万円まで利益を出しても、前年の赤字と相殺されて税金(法人税など、ただし全てがゼロになるわけではなく赤字でも一定の税金は支払います)が発生しないのです。
損失を出してばかりだと、会社が存続できませんから、赤字をずっと続けるということは出来ませんが、税金だけを考えれば、状況が許せば赤字決算を組むというのも選択肢の一つと考えられます。
今後、黒字転換が見込まれるならば、敢えて赤字とすることもトータルで見れば資金繰りなどに好影響を及ぼすこともありますので、考え方次第ですがメリットとも言えます。
黒字赤字よりまずいのは「予測できていないこと」
黒字や赤字がある程度コントロールできるということは、会社にとってはコントロールできる状態にしていることが重要です。
「期」が始まったときの予測よりもかなり利益が出過ぎてしまった、というのは営業としては良くても、経営としては必ずしも良いこととは言えません。
税金の支払も増えますし、資金繰りへの影響も大きくなります。
黒字か赤字かは何を優先するかで決まる
赤字にするか黒字にするかは、税金だけで決めるものではありません。
一般的な優先順位は、①融資 ②資金繰り ③節税です。
まず、融資を重視するなら黒字を優先すべきです。
金融機関は利益の有無を重視するため、赤字が続く会社は評価が厳しくなります。少なくとも、赤字が何期も続く状態は避けたいところです。
次に、融資を受けない、あるいは受けにくい会社であっても、資金繰りは別問題です。
外部資金調達に頼れない会社ほど、手元資金の厚みが重要になります。したがって、この場合も単に税金を減らすことだけを優先するのではなく、必要な現預金を確保できているかを基準に考えるべきです。
そのうえで、融資や資金繰りに大きな問題がなく、翌期以降の黒字転換がある程度見込まれるなら、当期赤字にも意味があります。
赤字そのものが良いのではなく、将来の利益と通算できる見込みがあるなら、選択肢になり得るということです。
もっとも、実際には設備投資、雇用、人員計画、今後の事業展開なども絡みます。
したがって、黒字か赤字かは単純な節税論ではなく、融資・資金繰り・将来計画まで含めた総合判断になります。
この問題は資金繰りだけでなく、
経営や融資とも関係します。
全体の構造はこちらで整理しています。




